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「因みに医療関係は、例え天才でも子供に手術させる何て、道徳に反するだとか何だとか断固反対されるから、医師免許取得出来る歳までスカウト禁止よ。…まぁ医療用のテストで好成績を出していれば、解剖で死体相手ならメスを握らせて貰えるけどね」

「…エムエムさんも解剖やったの?」

「勿論よ、まぁ中訓練所で初めて解剖やった時は、暫くお肉食べられなかったけわね。…因みにスカウト出来る子供の年齢も15歳未満って決まっていて、高訓練所まで通ってたらその子はもう天才じゃないから、日ノ本軍入隊まで受験戦争の参戦を余儀なくされるわ」

「受験戦争?」

「え?軍人にも受験戦争があるんですか?」

「あらそういえば坊やはまだ知らなかったわね。高訓練所に入学してから生徒達に知らされる事だけど、実は卒業する時までに在籍していたクラスによって、入団時に与えられる階級が違うのよ」


首席…伍長

S組…兵長

A組…一等兵

BC組…二等兵

DEF組…新兵

GHI組…一般人進路


「ってな具合にね、しかも自分で所属先を決められるのはB組以上で、後は人手が足りない場所に適当に割り振られるわ。高訓練所になったら半年単位でクラス替えを行うし、卒業試験で最終テストもやるから少しでも良いクラスに!良い階級に!ってな具合に生徒全員が競争相手になるから、受験戦争が激化して凄かったわよ〜」

「そうだったんだ…」

「随分と他人事の様に言いますね」

「だって私優秀な上に医学部志願だったし、教師達と仲良しだったし〜」

「…」


ズルしたってやはり色仕掛け使ったのか…というか男児と寝る様な者が教職員やってて、日ノ本軍は大丈夫なのでしょうか?


「だから坊やのおっとりした性格考えたら、ここに来て正解だったかもね〜…天才として軍に引き抜かれたとしても、同年代の子なんかいないし、いち早く戦力になる様に指導はされどメンタルケアは蔑ろだし。S組に編入されても自分を天才と認めて欲しくて自分磨きに必死だし、高訓練所に入って受験戦争に入ったら遊ぼ何て呑気な事言ってたら、爪弾きされるし…更にG・H・I組の子は親から軍人になる事を強要されてる子が殆どで、せめてF組に入れる様に躍起になってるから、天才とバレてる以上仲良くなれる可能性は限りなく低いわね」

「そ…そうなんだ」


エムエムの言葉を聞いて、コタロー君はシュンと落ち込んでしまった。


「エムエム、その言い方は無いんじゃないですか?」

「だって事実だし、もしもそのまま訓練所にいたらの話だし〜…だから今はマフィアに来た利点を考えれば良いのよ♪」

「利点?」

「そう、坊やお友達が欲しかったのよね?なら私がお友達になってあげるわん♡」

「えっ?!」

「え゛!」


突然のエムエムの申し出に、心底嫌な声を上げる私に対し、コタロー君は嬉しそうな顔で声を上げた。


「いやー私坊やみたいな可愛くて素直な弟欲しかったのよねー、一応いるけど無愛想で可愛くないのなんのって…坊やも私の事お姉ちゃんって思って良いからね♡」

「ほんと?僕も上の兄弟欲しかったから嬉しいなー!」

「ちょっちょっとコタロー君、変態相手に心許したら油断した隙に食われますよ」

「あら私は坊やとは純粋な友達で清く正しいお付き合いをする予定よ♡それに訓練所の子は洗脳教育でマフィアに良い感情持ってないから、少しでも坊やが楽しく明るいマフィアライフを送れる様に、プラスイメージする手助けしてるのよん、坊やもここに来て良かったでしょ?」

「うん!ナナシお姉さんともお友達になれたしここに来て良かったよ!」


エムエムによしよし、いい子いい子と抱きしめ帽子越しに撫で回されコタロー君は心底嬉しそうにはしゃぎ、私は何も言えなくなってしまう、そうだ現にコタロー君はここがマフィアのアジトと知って、パニック状態に陥ってましたね…そう考えるとエムエム何かと友達になるのは止めろ、と強く言えなくなってしまった。


「うふふ〜♡あっそろそろ軍に出勤しないといけないわね」

「え?もう行っちゃうの?」

「ごめんね坊や、私も仕事があるから行かなきゃいけないの」

「うん…お仕事頑張ってね」

「悲しそうな顔しないで、近い内にお土産持ってまた遊びに行くからねんvV」

「!、うん!!」

「うふふ…紅菊ちゃんちょっと大事な話があるから、コルヴォ様の部屋まで案内してくれない?」

「何ですか?急いでるならさっさと行ったらどうです?」

「そんなに嫌そうな顔しちゃイヤン♡…ちょっと大事な話よ」

「…コタロー君、部屋で大人しく待ってていただけますか?」

「うん、わかった」


普段ならすぐ逃げるのですが、急に真剣な顔つきになったエムエムに、私は大人しく彼の言葉に耳を傾ける事にする。部屋を出た後、扉が閉まった事を確認したエムエムは大きく溜め息を吐いた。


「…紅菊ちゃん、子供嫌いを承知でお願いしたいんだけど、坊やの支えになってあげてね」

「え?」

「あの坊やなーんか危ない感じがするのよね〜。本当は私が側にいてメンタルケア出来たら良いんだけど、職場はちょっと遠い日ノ本軍だし会いに来られるのも最低でも週1位だし…だから紅菊ちゃんが坊やの相談役になってくれる?」


前を歩いていたエムエムが振り返り、真剣な表情で私を見据えた。


「…随分と気にかけますね、そんなにコタロー君の事が気に入りましたか?」

「ん?だってせっかく出来た友達に、早死にして欲しくないんだも〜ん♡」

「…職場で幾らでも作れば良いじゃないですか」

「無理よ、だって軍人何かと仲良くしたって直ぐ死んじゃうんだもん、そんな人達と友達になったって私の胸が痛む所か、ズタズタに切り裂かれちゃうわよ…やっぱり友達作るなら、比較的死亡率の低い裏社会に限るわ〜♡だから紅菊ちゃん」


貴女達は早死にしないでね?


「…縁起でも無い事言わないで下さいよ」

「冗談よん♡じゃっ来週辺りに坊やの診察兼ねて、オヤツ持ってまた来るからねん」

「もう来なくて良いです」


照れ屋さん♡と人を茶化しながらエムエムはコルヴォ様の部屋へと入っていった。




ドッコォォォン…


今後どうするか考えながら部屋を離れ様とした途端に、聞き慣れた爆音…と、それに微かに聞こえたエムエムの声に、またコルヴォ様にセクハラしようとしたのだと予測する。


ゴスッドスッドコォッ!!…パリーーーン!!


「…(何かいつもより激しいですねぇ)失礼します。コルヴォ様一体どうし…」


いつもより激しい音に中の様子が気になり、扉を開ければそこは大惨事でした。


エムエムをそこらの壁や床にたたきつけたのか、血痕が周囲に広がり床には資料や本が散乱、エムエムをそこから追い出したのか窓ガラスが割れており、そして部屋の真ん中でその割れた窓ガラスの方を向きながら、肩で息をするコルヴォ様がいた。


「…一体エムエムは何を仕出かしたんですか?」

「紅菊、早急にこれを処分しろ」


声をかければ怒り任せにピンク色の紙袋を投げ渡された、冷静沈着なコルヴォ様がここまで怒るとは一体何を…ん?


紙袋が開いている、何気なく中を覗き込めばそこには………。


「またこんな物プレゼントされたんですか?」

「ああ…しかも」

『はいコルヴォ様にプレゼント♡』

『プレゼント?』

『というか坊やの初心者専用玩具でーす!』

『…』

『初めてでも簡単に入る極小サイズと、すぐに病み付きになっちゃうお薬入りローションセットよ♡これで処女でも痛み無くプレイ出来るわ!あっやっぱりあの坊や泣かせたい顔してるから、極太で苦痛に歪めるのも良いわねぇ…次来た時に持ってく『黒羽の弾丸!!』


コルヴォ様が煙草に火をつけ、立ち上る煙を視界に入れつつ私は呆れ果てていた…少しでも、エムエムの事を見直そうと思った私が馬鹿でした。


「…何回私にそんな趣味は無いと言えばわかるんだアイツは」


煙草の煙を深く吸い込み、ようやく落ち着いたのか煙と共にいつもの穏やかな声色が吐き出される。


「それではこれを処分したら部屋の掃除に移ります」

「…いや掃除は昼食の後で良い」

「は?」

「もうすぐで12時だろ?」

「え?いつもは2〜3時に昼食じゃありませんでしたっけ?」

「訓練所じゃ12時が昼食の時間だ、育ち盛りなんだから既に空腹何じゃないのか?」

「ああ…なるほど、そういえばそうですね」


コタロー君の事を配慮しての指示なのだと気付く…それと同時に、コルヴォ様のコタロー君に対する不自然な優しさが引っかかる、赤の他人である子供にそこまで考えるものなのだろうか?


「…」

「どうした?」

「…いえ、それではコレを処分したら、昼食の準備に取り掛かります」


彼らの繋がりを考えても先ほどコタロー君の言っていた父親の話が憶測を否定する、取り敢えず今はこの紙袋の廃棄と、12時になる前に昼食を作る事を優先する事にした。

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