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多分マフィアの者を毛嫌いしている軍人が、貴重な戦力予備軍である子共達がマフィアに興味を持たない様に作ったビデオなんでしょうね。


…というか道徳の授業でそんな映像を子共達に見せ、布団に入り込み震えるまでのトラウマを植え付ける軍側もどうかと思いますけどね。せっかく落ち着かせたというのに、何て教育をしてくれたんでしょう。


「爪なんか剥がしませんから落ち着きなさい」

「やだーっ!やだーっ!!爪剥がすの怖いよー!!」

『マスターの爪の変わりに私の爪を剥ぐニャン!』

「熊さんに爪は無いでしょ、コタロー君も13歳にもなって、歯医者を嫌がる子供みたいな反応しないで下さい、というか本当にあなた13ですか?(身長は普通の子より高いし精神年齢は普通の子より幼いし…なんかこの子ちぐはぐですね)」

「…何で僕の歳知ってるの?」

「さっき自分で中訓練所2年だって、言ってたじゃないですか…ん?」




『この仔の年齢わかります?』

『歳?』

『調合する量が的確なら副作用も最小限ですむんですけど』

『歳って言われても…(今日初めて会った子の歳何てわかる訳ないじゃないですか』

『今年で13だ』




…何であの時コルヴォ様は、即答出来たのでしょう?


布団を頭から被り震えるコタロー君を見ながら考える…もしや事前に調べていた?理由はある、高度なプログラムであるA・Iを組み立てられる程の技術を有している。


でも何の為に?今の組織で技術面に不自由している事も無いし、わざわざ連れて来なくても…しかも『今日からお前の仕事にこの仔の世話を加える』だなんて、私に相談も無く突然連れて来るし…でもそれ以外にコルヴォ様がこの子を連れてきた理由が見当たらない。


もしかしたら前から連れて来るつもりだったけど、どこかから横取りされそうになり、その際に撃たれ慌てて連れて来た…とか?今の所それだけしか思いつかない。


「やだー!やだー!怖いよー!!お母さーん!!」


…取りあえず、もうそろそろコルヴォ様が帰って来て、こんな状態のコタロー君と鉢合わせたら余計拗れそうだから、早急に宥めとかないとならない。

「誰もあなたに酷い事しませんから、布団から出てきなさい」

「じゃあ何でマフィアに連れて来られたのさぁ!」

「連れてきたのはコルヴォ様ですので理由は詳しくは知りませんが、コルヴォ様は拷問好きではない事は確かです」

「もし好きだったら?コルヴォさまってマフィアのボス何でしょ?悪い人達の親玉でしょ?連れてきた理由が酷い事するのだったら僕どうなるの!?」

『どうするつもりニャン!』

「いやだから…(…だから大泣きする子供は嫌い何ですよ、人の話は聞かないし泣き声を聞くと胸が締め付けられる感じがするし…あーもう!)もしコルヴォ様が拷問好きでも、爪剥がすのが好きでも、ショタコンの気があっても、ネクロフィリアの趣味があっても私が守ってあげますよ!」


このままでは埒が明かないと思った私は、コタロー君の泣き声を遮る様に大きな声で呼び掛けた。


「…え?紅菊お姉さんが?」

「私はコルヴォ様の側近ですので、子共1人守る力なんて余裕でありますから、安心しなさい(まっ元々コルヴォ様にそんな趣味ありませんから守るも何もないんですがね)」

「…本当?」

「本当です、ちょっと右手出して小指貸して下さい」

「?」


コタロー君は布団から上半身だけ出し、恐る恐る小指を差し出す、私はそれに自分の小指を絡めた。


「ゆーびきーりげーんまーん嘘つーいたーら針せんぼーん飲ーます!指切った!」

「!」

「…まだ信用出来ませんか?」

『ナナシさんはマスターの味方ですか?』

「そうです」


私の問いに首を横に振った後コタロー君は安心したのか笑顔になった、どうやら宥める事に成功したらしい…弟が小学生の時にグズった際に使用してた手が通用するとは思ってませんでしたが、やってみるもんですね。

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