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「…何でそう思うたんじゃ?」
「例え夫が死んだとされても苗字が旧姓に戻る事は無いしー。他に戸籍が消される事例は存在しない訳だしー。わざわざ日ノ本軍側から双子って強調されてるって事はそういう事何でしょー?」
「…」
巡査部長に言われた推理にワシは思わず顔を背ける…そうじゃ、兄は僅か10の時ににほん軍に行く事になった。
『僕なら大丈夫だよ、だってスパロがいるから1人じゃないもん!スパロと一緒ににほん軍で兄さんと鷲三が軍人になるの一緒に待ってるね』
ワシ等が軍人なったら直ぐに迎えに行くと約束してから別れて半年後。両親から兄が日ノ本軍で多くの死傷者を出したからにほん軍に仇成した者とされ、ワシ等との家族の証を剥奪されたと聞かされた。…そしてワシ等が日ノ本軍に入隊した時には既に戦死しており戸籍どころか、存在そのものがなくなってしまった。
「…」
「確か数年前までは逃亡防止の為の爆破装置が取り付けられてたんだけどー、敵国でそのシステムがハッキングされて、戦時中に敵側にその装置を起爆され、しかも火薬が強くて周囲にいる日ノ本兵を巻き込む事件が多発する様になってからは、禁止されたんだよねー。…まぁその結果日ノ本軍から逃げ出した無戸籍能力者が裏社会に逃げ込むケースが増え、能力者による犯罪が多発する様になっちゃったんだよねー、この柄蛇君も良い例だしねー」
「へ?こいつが?」
「うんそうー、僕達警察がこいつの捜索に難航したのも戸籍が無いせいだからなんだよねー。だからこの戸籍消す刑罰も、もう少し改良して欲しいもんだよねー」
「…」
『悪いこたぁ言わ…ん、大人しく…軍に戻れ…おぬし…存在しなくなる…ぞ』
『…もうねぇよ』
既に消された後だったのかと、軍人を憎む理由に納得しながらワシは男を見る…と、パトカーの後部座席に座る男の腹が異様に膨れ上がっている姿が目に入った。
「!…巡査部長!」
「?!」
嫌な予感がしたワシは急いで巡査部長の体を米担ぎし、兄貴の家へと全力疾走した。
「ちょっとーどうしたのー?!」
「巡査部長!両耳塞いどれ!」
「えー?」
ワシは家の中にいる兄者の姿が見えたと同時に、最大限の大声で叫んだ。
「兄者ー!耳塞いで伏せろーーー!!ドデカイ超音波が来るぞーーーーーっ!!」
叫んだ瞬間、後ろから悪寒が走りワシは巡査部長を投げる様に地面に降ろしその上に覆いかぶさり両耳を固く塞ぐ、その刹那パトカーがある方から突風の様な音波の波が押し寄せ周囲の木々を揺らし家の窓硝子が全部割れ、耳を塞いだにも関わらず鼓膜に激痛が走り意識が薄れ…ていっ…た………。
×××
「今だー!親分を助けろーーー!!」
あっし達は親分が捕獲された時の作戦プランAを実行すべく急いでパトカーに駆け付ける、パトカーの中で必殺技を使った親分がむせ返りながらも、必死に深呼吸していた。
「親分!」
「ぉ゛ぅ゛…ぉ゛め゛ぇ゛ら゛…」
「親分喋らねぇでくだせぇ!」
「あいつ等が戻ってこない内にボスを俺達の車に!」
「おい軽傷の奴は手を貸せ!腕怪我してっから俺1人じゃボス支えられねぇ!」
あっし等は親分の必殺技で硝子が粉々になった窓から、親分をパトカーから引っ張り出し急いでワゴン車へと運ぶ。
「なー…俺は思うんだが窓割れてんだから鍵開けられたよな?何で狭い窓から引っ張り出す必要あったんだ?」
「黄蛇てめぇ!何でいつも終わってから言うんだ!!」
「はいはい赤蛇、喧嘩は逃走後にね〜緑蛇運転よろしく!」
「へい青蛇!あっしに任せてくだせぇ!!」
あっしは運転席からバックミラーで、後部座席でぐったりする親分の姿を見る。
爆撃音波
それが親分の持つ必殺技で一度発動すれば広範囲の者の鼓膜という鼓膜を打ち破り、至近距離で喰らえば絶命は免れない殺傷能力の高い超音波だ…だがそんな必殺技にも弱点があり、一度発すれば親分の喉がズタズタになり、その後1日はまともに声を出す事も出来なくなるから飽くまで警察や軍人に捕まった時の最終手段にしか使えない。
「…こ゛、の゛」
「親分喋らねぇでくだせぇ!」
「恨み゛…晴ら゛ざでお゛…ぐべきが…だがめ゛…ぎょうだ…ゲホッ!ゲホッ…」
「…」
親分がこの言葉を言う時は必ず報復を果たす時の言葉だ…鷹の目兄弟め!親分に血を吐かせたこの恨み、ぜっっったいに晴らさでおくべきか。
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