4

私がどうしたもんかと悩んでる最中に少年が右肩を抑え蹲った、どうやら撃たれた肩を激しく動かして激痛が走り自滅したらしい。


「っ…がだい゛た゛い゛」

「ほら怪我してるのに、そんな暴れるから…大丈夫ですか?」


少年は余程痛かったのか、泣きながら痛みを堪えてる様子…傷口開いてないだろうか?


ギィイイイ…


今…寝室の扉が開く音がした?


私は振り返り扉を見てみる、確かに扉は開かれていた…もしや誰か侵入者が?いや有り得ない、闇から離れたのはほんの数分程度で、誰かが10階に入り込んだ時点ですぐさま察知出来たはず、それにこの部屋の鍵は少年が掛けていて誰も入れない…コルヴォ様?いや…あの巨体を見落とす訳がない、私は部屋を見渡し扉が開いた原因を探る。


念入りに部屋を見渡すが何か変わった事といえ、ばコルヴォ様のベッドの上に熊のぬいぐるみが乗っているぐらいで、何も変は……………って熊?!


私は一度外した視線をベッドに戻す、そこには熊のぬいぐるみが乗っていた…絶対に有り得ない組み合わせに私は動揺する、だってあのコルヴォ様が…熊のぬいぐるみ???


「?………あっ!」

「っ?!」


ヒュンッヒュルヒュル…


突然大声を出した少年の方に気を取られた隙に、何かが体に巻き付いた!ワイヤー?!一体どこから…っ!!


私の視線の先には先ほどの熊のぬいぐるみが、私に絡みつくワイヤーの端を手に持っており、私に跳び蹴りを繰り出す姿があった。


「なっ?!…っぅあ!!」


突然の展開についていけず、そのまま熊のぬいぐるみの蹴りを食らい倒れてしまった。


「(不味い!影に触れワイヤーを抜けなけれ「熊さん!!」…は?」

「ぅわーーーん!熊さん会いたかったー!!」

『マスター!ご無事ですニャン!?』


少年は熊のぬいぐるみ(熊さんと言うらしい)のもとに駆け寄り抱き締めた、しかも熊さんは怖かったよー、と泣く少年の頭を慰める様に撫でる…異様な光景です。


「(な…何なんですかこの状況、というか何故ぬいぐるみが喋っているのです?!)」


先ほどまで痛みで蹲っていたとはいえ、パニック状態だった少年は熊さんの落ち着いて下さいの言葉に泣き止み、段々落ち着きを取り戻していく………ワイヤーはいつでも抜けれますしここは1つ様子を見ましょう。


『マスター落ち着きましたかニャン?』

「うん、ありがと熊さん」

『ここは危険な所ですニャン!直ぐに脱出しますニャン!』

「えっ!?ここって危険な所なの!」

『はい!下の廊下には銃を持った人がうようよいましたニャン!!』

「銃!?うようよ!?」

『はい!自分はただのぬいぐるみのフリをしてやり過ごせニャですが、マスターが廊下に出たら直ぐに蜂の巣にされニャウでしょう』

「(ただのぬいぐるみのフリして…あっアジト内をうろちょろしてた生物の正体は、このぬいぐるみでしたか!)」


一昨日の夜中から20階に入り込んできた謎の生き物に、私は部屋の掃除があるからと部下に“動物が入り込んで来たみたいだから追い出してくれ”と指示を出したが返事は“動物は見つからなかった”と報告が返ってきたが…動物ではなく、ぬいぐるみじゃあ見つかる筈が無い訳だ。


結局廊下をうろちょろするだけで害は無い様子だし、部屋の掃除が終わったら私が捕まえてこようと後回しにした結果が、ワイヤーでぐるぐる巻きされた上での飛び蹴り&目の前の異様な光景という訳ですか、自分の物臭な所を呪うと共に改善しようと思いました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る