3

…寝室から出たようですね。


少年が寝室から仕事部屋に出てきたのを探知した私は、闇の中に体を溶け込ませ急いでコルヴォ様の部屋に向かう。水の中を泳ぐように闇の中を移動している最中に、コルヴォ様の部屋の扉が開いた。




×××




「早く出なきゃ…えー!?廊下も真っ暗??!」


ドアを開けると廊下も真っ暗だった、非常口への案内だけが薄明るく光るだけで、電気が点いてなかった。


「え?…何で電気点いてないの??」


左右を見ても真っ暗、廊下の端が見えない位…何回も言うけど真っ暗としか言いようがなかった。


「…もしかして僕お化け屋敷にいるのかなぁ?」


怖くてなんか涙出てきた…でも部屋から変な音するし、早く誰かに会いたいから移動しなきゃ「一体どこに向かおうと言うのです?」




×××




「ひっ!!…ぅわぁあああああ!!」


声をかければ少年は悲鳴を上げ、私の方を見たかと思えば、お化けだぁぁあああ!と絶叫しながら部屋に入ってしまった…どうやら極度に驚かせてしまったらしい。ドアノブを捻るが扉が開く事はなかった。


「(鍵をかけた様ですね…)あーもしもし?私はお化けではありません、ここを開けて下さい」

「嘘だぁああ!誰もいなかった筈なのに声がしたー!!」


泣きそうな声で(いや実際泣いてるかも)反論する少年…仕事部屋の方は闇に覆われているお陰で、中の様子を伺う事が出来た。少年は寝室の扉付近でこちらの様子を伺っている様だ。


「もしもーし?」

「うわーーーん!(外に幽霊いるし天井ガタガタいうし怖いよー!誰かー!!)」

「(錯乱状態なってる様ですね…どう宥めたら良いものか)」


別に鍵がかかってても闇さえ繋がっていればドアの隙間からでも入れるんですが、しばらく様子を見るべきですかね?余り部屋で暴れられても困りますが、下手に刺激をしてかえって逆効果になる可能性も…


ガッタンッッッ!!


「わーーー?!!」

「?…ちょっと?何をしているのです?」


部屋の中から聞こえる突然の物音に続く少年の悲鳴、しかも少年は寝室の方に入り込み扉を閉めてしまった。…悠長な事を言ってる場合ではないようですね、私はドアの隙間から部屋の中に入った。


「(仕事場に特に変化は無し…)」


私は仕事場を見渡しつつ、奥の部屋の寝室のドアノブに手をかける、寝室の方は鍵はついておらず、扉はすんなりと開いた。


部屋を見渡すが寝室も荒れた様子は無かった、窓のカーテンの不自然な膨らみを除いて…


「(先ほどの音は何だったのでしょう?というかアレは…もしかして隠れているつもり何でしょうか?)」

「(うわぁあああ!!鍵かけたのに入ってきたーーーっ?!やっぱりお化けだーーーっ!!)」


カーテンからチラリとこちらを見て、直ぐにまた隠れる少年…いや、今確実に目が合ったでしょ。


「…」

「(うわー!うわー!こっち見た!見つかってないよね?!)」


本人は真剣に隠れているつもりなんでしょうか?しかし遊んでる場合じゃないので早々に少年を確保しなければ、私は逃げ道を塞ぐ為、寝室の扉を閉め少年が隠れるカーテンに近寄った。


「うわっ!うわっ!近付いてきたぁ!!」

「だから少しは落ち着きなさいって…まぁ起きたら見知らぬ部屋にいる上に、幽霊との遭遇(幽霊じゃないんですがね)混乱するなという方が無理ですけどね」


少年はカーテンから出て部屋の隅に逃げ込み、ベッドから枕を掴み取りぶんぶん振り回し始めた。


「うわーーーん!僕食べても美味しくないよー!!」

「食べませんから(完全にパニック状態に陥ってますね…どうしたもんでしょうねぇ、相手は怪我人だから手荒な方法は出来ない)…ん?」

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