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「コルヴォ様…言ってる事の意味がわからないのですが、どういう事なのでしょうか?」
私はコルヴォ様の言葉が理解出来ず、思わず聞き返してしまう。
「言葉の通りだが?」
「…もう一度お聞かせ頂いてもよろしいでしょうか?今、コタロー君をどうすると申しましたか?」
彼に仕えて2年、月一に花束持ってちょっと長めの買い物に行ったり、その帰りに手負いの子供を拾って来たり、独り言を喋ったり、寡黙であり仮面を被ってる事もあって、彼の考えている事がわからないとは常々思っておりました、しかし…
「これから光太郎を拾ってきた場所に帰してこようと思う」
たった今コルヴォ様の考えている事が、全然わからなくなりました。
「軽々しく言いますけどねぇ…突然拾ってきたり、やっぱり帰してこようと思うって犬や猫みたいに軽々しく言わないで下さい!大体あの子の面倒を見る者がいないのに、帰した所で動物みたいに野良になる訳じゃあるまいし、生きていける訳ないじゃないですか!」
「落ち着け紅菊…実は親族があの子を探しているみたいなんだ」
「え?親族ってあの育児放棄やらかしたおばさんがですか?」
「いや光太郎の事は兄が引き取るそうだ」
「兄?」
「い、いや光太郎の父親の兄夫婦の事だ…そもそもは光太郎の伯父が、戦場から帰還するまでの1年間だけ叔父の嫁が預かっているという話だったんだが。連絡ミスがあって放置されてしまった…らしい。兄夫婦は光太郎をちゃんと育てる意思があり、必死に捜索しているそうだ」
「本当何ですか?コタロー君はずっと一人暮らしだったと言っており、兄嫁の話題は一度も上がりませんでした。仮に事実だとしても、1年間も一度も会いに来なかった者を信用なりません」
「…随分と親しくなったんだな」
「!」
「最初は紅菊に子供の面倒を任せるのは不安だったんだが…どうやら杞憂だったみたいだな」
突然世話を任せておいて失礼な。
「…確かに子供は苦手ですけ、ど…コタロー君は見た目が大きいから大丈夫というか、そもそも私が苦手なのは泣き声であって、子供自体は嫌いと言う訳では「紅菊、裏社会で他人に囲まれ暮らすのと、親族の元に帰し暮らすの…光太郎にとって、どちらが良いと思う?」
「!」
「…」
それきりコルヴォ様は押し黙る、私に答えを促しているのだろうがそんなもの考えずともわかる事だ。
「それは…勿論後者ですけど…」
「…」
「…ま、まぁ元より私は子供の世話何て面倒くさいと思ってた所ですし、子供がこんな所にいたら教育上悪影響の一言に尽きます、帰る場所があるなら帰した方が良いですね」
私は自分を納得させ、椅子から立ち上がる。
「それではコルヴォ様、コタロー君にはこのアジトの事を親族にも口外しない様に言い聞かせてきます」
「ああ…頼んだ」
「では、失礼致します」
×××
『キクちゃん、コうタローくんとなかよクなったンダネ』
「ああ…」
『さいショはふあンダッたけどなかヨクなれてヨカッタね』
「ああ」
『…でも、おワカレさせチャウことになっちゃッテかなしいネ』
紅菊が部屋を出た後でクロウがポツリポツリと呟き始め、それと共にクロウの悲しい気持ちが私の中にも流れ込んでくる。
「ああ…私も申し訳ないと思う」
『…こルヴォは?コるヴォはもっとこうタローくんと、オハなしシナくてイイの?』
「…あの子には怖がられてしまってるからな。無理に話し掛けずとも私はただ間近で、その姿を見れただけで満足だ」
『…ぼクノせい?』
「いや…そもそもクロウがいなければ私はここにいなかった、この姿になろうとも私は少しもクロウを怨んではいない」
『ヤサしいね、こるヴォは』
「それはお前もだろう、クロウ」
『…でモ、やっぱリさぁ…イコうよコるう゛ぉ!』
「ん?」
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