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私が固く決心している側で2人は楽しそうに話をする、お茶も減る様子は無いし、仕事をするにもコタロー君を変態と2人きりには出来ないし、完全に手持ち無沙汰だ。


「私?私もねーちょっと運動苦手だったし体育の成績はまずまずだったのよね〜、だから自分はもう良いやって感じで他の生徒にコツを教えたり、面倒見てたら『お前が教えた生徒は他の奴に比べて成長がグッと伸びた、お前には調教師の才能があるんじゃないか』って言われてから、調教師って呼ばれて先生の手伝いする様になったわね」

「調教師!?凄いあだ名だね」

「…(昔から女王様の素質があったのか)」

「そうそう、でもあだ名先生は他の教師と違って生徒を良く見る人でね、なんであだ名をつけてるのかって言うと成績だけを見ないで、その子の特徴をあだ名にして暗記してるのよ」

「え!?そうなんだ」

「だから成績順だけじゃなくて、あの人の意見でその生徒のクラス分けを参考にしてる重要人物だって軍に入った後知ったわ、それに先生は評価した生徒には軍での推薦状を出してくれるのよ」

「えー僕には怖い先生だったんだけどな〜」

「私もあだ名先生に『お前は人に教えるの上手いから、指導員で働きたいなら推薦状書いてやろうか?』って言われたわ、でも私は医者になるつもりだったから断っちゃった」

「わーお医者さんにもなれて指導員にもなれるなんて凄いなぁ、僕エムエムさんみたいに得意な事沢山ないよ」

「…」


なにこの疎外感、まぁ2人は同じ訓練所に通い、私は軍とは関係ない学校に通っていたから話に入れないのは当たり前、しょうがない事ですね。


「(私にとっては変態でもコタロー君にはOBだから嬉しいんでしょうね、すっかり打ち解けてエムエムと楽しく話をしてますし…)」

「それにしてもコタロー君がこんな背伸びてるなら、ご両親はさぞ大きかったでしょうね〜、コルヴォ様位?」

「え?お母さんそんなに大きくなかったよ?去年の僕と同じくらいだったもん」

「去年どの位だったの?」

「えーっと…身体測定の時は153cmだった!」

「ならお父さんは?」

「お父さんは〜…どうだろう?会った事ないからわかんないや」

「…コタロー君、父親に会った事無いんですか?」

「うん」


コタロー君の発言に思考を一時中断する、父親に会った事ない?


「僕が幼年訓練所の時に1回会っただけなんだ、しかも後ろ姿見ただけで一度もお話した事も無いし…それに本当は赤ちゃんの時を入れて2回だけど、赤ちゃんの時なんて全然覚えてないよ」

「後ろ姿だけ…コタロー君、父親の髪が何色だったか覚えてますか?」

「え?」

「あらどうしたの紅菊ちゃん、そんな事聞いてどうすんの?」

「いえちょっと気になる事が…」


どうも最近のコルヴォ様の態度は引っかかる、もし連れて来られた時に考えた隠し子説が正しければ、その態度の大体は筋が通る…しかしコタロー君の言葉にその説は打ち消される事になる。


「えーっと…あっ僕と同じ茶色だったよ!」

「茶色?…どの位の身長だったか全然わからないんですか?」

「ん〜椅子に座ってて良くわかんなかった…あっ写真で見た事ある!お母さんより頭1個分大きかったよ」

「頭1個分…(という事は170cm位という事か)」

「その写真のお母さん、僕がお腹の中にいたからすっごくお腹大きかったんだー」


…髪の色はともかく身長がコルヴォ様と全然特徴が一致しない、やっぱり単なる思い過ごしか。


「ん?…あららもうこんな時間、そろそろ検査して軍に出勤しないといけないわ」

「え?もう行っちゃうの?」


ふいにエムエムは腕時計を覗き込み長居し過ぎた事に気付いた、やっと出てってくれるのか。

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