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「一昨日の事だけですか?ちゃんと自分の名前言えますか?」
「うん!日ノ本軍軍人養成学校第3中訓練所2年いらねーI組みのひのした光太郎!皆にはコタローって呼ばれてるよ」
少年コタローは元気良く自己紹介をした、というか…
「何ですかその“いらねー”って」
「中訓練所からの組み分けは成績順で、I組みは10クラスの中で最下位の勉強も運動もダメな子の寄せ集めだから、他のクラスの子達にそう言われてるの」
「え?Iで10組?9組では?」
「A組の上にS組ってのがあって、その子達はみんな教科別に成績が一番とか軍師の才能があったり、天才やエリートの寄せ集めなんだ!」
「つまりあなたの成績は下から数えた方が見つかりやすいんですね」
「うん!そうだよ」
「元気よく返事する事ですか」
「だって本当の事だし」
因みに僕は勉強も運動も両方駄目だったんだ、と照れくさそうに頭をかく少年。
先ほどからの様子を見てどうやら能力者でもないようですし、ますますコルヴォ様がこの子を連れてきた理由がわからなくなりました。
まさか…本気でエムエムが言っていた………?
「た…確かにコタロー君は可愛い顔してますし、真面目な人ほど実は意外な趣味があるって聞きますしね」
「え?…あー!!そうだ!帽子?!」
コタローは私の言葉に突然ガバァッと立ち上がり頭を抑える…が、貧血のせいで立ち眩みを起こしその場にうずくまる。
『マスター大丈夫ですかニャン!?』
「ぅ〜〜〜っ…熊さーん、帽子知らない?」
『すみませんマスター、マスターを追いかけるのに必死で拾う余裕がありませんでニャン。今頃霊園に落ちたままですニャン』
「じゃあ帽子ないの?」
『はい…少しお待ちいただけますかニャン?』
「うん」
熊さんが何やら部屋中を物色し始め、コタロー君は俯いたまま静かになる。
「?、大丈夫ですか?立ち眩み酷いんですか?」
「!?っ見ないでよエッチ!」
「エッチってあなた…」
顔を覗き込もうとするが激しく避けられ、後ろのベッドに潜り込んでしまった。
「僕顔見られるの嫌なのー!だから見ないで!!」
「はぁ?なんでですか?」
「だって僕の顔女の子みたいって…勉強も運動も駄目何だから女になって、花嫁修行する学校に行けって、他の子にからかわれるんだもん」
「…(確かに年頃の男の子には辛いものがありますね)」
『マスター!ありましたニャン!!』
フォローの言葉を考えているとクローゼットから熊さんが出てくる、その手には先代の帽子が握られていた。
『暫くはこれで代用を…』
「うん、ありがと熊さん」
少年は帽子を深く被り目元を隠してしまった…可愛い顔なのにもったいない。
「ふぅ、安心した…そういえばお姉さんは?」
「え?」
「お姉さんはなんて名前なの?」
「私は…コルヴォ様に“紅菊”と名付けて貰いました」
「べにきく?変わったお名前だね。ちょっと変わった名前だけど素敵な名前だね!」
完全に勘違いしているコタロー君、まぁ名前なんてどうでもいいから放っておいて良いですね。
『マスター!なに敵と呑気にお喋りしてるんですニャン!』
「えーでも紅菊お姉さん悪い人に見えないし」
『一昨日この人達の部下になにされたか覚えて…ニャいんでしたっけ』
うーんと困った仕草をする熊さん、私達の部下?一昨日一体なにがあったのでしょう…困った様子の熊さんを眺め私は先ほどから気になっている事を指摘する。
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