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「まっあなたはちゃんと連絡を入れた事には変わりはないんですし、あなたの奥さんが子供の面倒を見なかった非情さに非があるんですから、鷲三ばかり責めてもしょうがないですね」

「いっつぁ〜〜〜っ…とか言う割には思いっ切り、拳骨食らわしたのぉ…」

「石頭を殴った私の拳にもダメージがあったんですからそれでおあいこ、切られなかっただけマシだと思いなさい」


兄との追いかけっこはワシにゲンコツ一発食らわせる事で終わる事になった、何時もなら最後まで刀を振り回していた兄も顔には出さんが、長期任務に加え帰還したばかりで疲労が溜まってたのじゃろう、そんな兄の横顔を見ながらさっきからずっと見つめている訓練所から持ってきた資料の事が気になった。


「…にしても兄者、さっきから歩きながら何を眺めておるんじゃ?」

「甥の資料です、どうも気になる事があるんですよ」

「ん?どれどれ?」


兄から資料を受け取り一番上の資料の右端にある写真を見る、そこに数年ぶりに見る懐かしい甥っ子の顔が写っておった。


「おお!嫁っ子に似てめんこいのぉ!将来が楽しみじゃあ」

「私が気になるのは2枚目の中訓練所でのテストの点数表です」

「点数表?」

「進級毎にあるクラス分けの参考に、テスト結果が全て記されて残されてるんですよ」

「なるほど、小テストやら抜き打ちテストまで細かく書いておるのぉ…おっ!点数は30点キープ!ワシより優秀じゃな!!」

「…」


ゴスッ!…ドサァ!!


「あがっ!!」


資料を捲り点数表を眺めていると、突然兄に膝裏を蹴られワシの体は前方に勢い良く転倒した。


「良くそんな成績で、私と同じS組に在籍出来ましたねぇ!」

「いった〜〜〜…まぁ元々体格は良かったからのぉ、ワシだって少しでも兄貴との距離を縮めたかったから勉強出来ない分、体鍛えまくって何とか突撃兵代表として意地でもS組の枠組みに入ったわい」


ワシは体についた土をほろいながら立ち上がり、ワシ等兄弟の事を考える…勉強すればするほど頭が良くなる兄と違い、全然頭に入らんワシは爺ちゃんに体術を一から十まで徹底的に叩き込んで貰ったり、暇さえあれば筋トレと柔軟をして体育成績でトップになったもんじゃ。


まぁ兄は頭良い上に、暗殺兵の素質を持っておって卒業生代表の首席に選ばれた、三つ子で同じ体の作りしとる筈なのに、どうしてこうも兄弟全員バラバラ何じゃろう?


「…ふん、それで私が気になる所はこの1年の二学期でとった高得点からの境目です」

「境目?…お?算数が90点?!他の教科も80点以上…ん?1回だけ?入力ミスじゃないのか?」

「普通ならそう思うでしょうね…しかし良く見て下さい、高得点を取る前は28・32・35と点数は前後していました…ですが高得点をとった後は、全て30点ジャストになっています」

「あっ!?本当じゃ!」

「どういう事だと思います」

「隠そうとした…としか思えんのぉ」

「その通り、恐らく何らかの理由により急激に知能が上がり、高得点をとれる様になった…ですがこの仔はそれを隠そうとしたのです、このジャスト30の数字は子供の浅知恵と言った所でしょうかね」

「でも何で頭良くなった事を、わざわざ隠そうとしたんじゃ?」

「それは本人にしかわかりません、もうすぐで家ですので着いたら問い詰めましょう」

「問い詰めるって穏やかじゃないのぉ…ん?あそこを曲って真っ直ぐ行けば兄貴の家じゃなかったかの?」

「そうですね………っ」


もう少しで家に着くという所で突然兄が歩みを止め険しい表情になる、そして裾からクナイを取り出した。


「?…どうしたんじゃ兄者?」

「鷲三…あなたも戦闘態勢に入って下さい」

「え?」

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