2
『えーっとインストール設定はっと…』
『…なぁ冗談なら今すぐ言った方が良いぞ』
『えー本当だよ?』
『だってお前一週間前はパソコンの電源すら入れられてなかっただろ?今だってブラインドタッチすら出来ねぇで、人差し指だけでキーボード打ってるじゃねぇか』
『だって画面見ながらキーボード打つの難しいし…』
『だ・か・ら!A・Iはブラインドタッチ何かよりも超上級高度技術何だぞ!?初級中の初級が出来ないで作れる何て馬鹿な話ある訳な『―――…おはようございます』
『『!』』
パソコン画面にインストール完了の文字が現れ、熊が俺達に向かってお辞儀をした。
『はじめましてコタロー様…?、2名いるようですがコタロー様はどちらでしょうか?』
『僕だよ!こっちは才雅君!』
『了解致しました、あなたがコタロー様、こちらが才雅くんですね』
『うんそう!やった成功だぁ学習してる!』
『ぃ…いやまだわかんねぇぞ!プログラム通りに会話してるだけかもしれねーだろ!色々学ばせて学習しねーとA・Iって言わねーよ!!』
『それもそうだね、熊さんこれから僕達と一緒にお勉強しようねー』
『了解しました』
それから俺がA・Iを組んでいる間、コタローは熊に多くの事を学ばせていた、何度も一緒にやろうと誘われたが俺はそれを断った。
だって俺はまだ完成させていない、確かにコタローは俺より優秀かもしれないがほんのわずかな差だ、俺より早く完成したのだって既に俺が纏めたレポートを見たからだ。
だから俺だってもうじき完成出来る…筈だ。
俺がパソコンに向き合っている間に、コタローは熊と一緒にアニメを見ていた、タイトルは『アサシンキャット』で天才発明家の少年が作った猫型ロボットが、ワイヤーやクナイを駆使して悪の組織から少年を守り大活躍する話だ。
日曜に放送しているそのアニメを見て、毎週月曜日になるとクラスメイトが自分も暗殺兵になるとほざいていた、火曜になったら突撃兵で木曜になったらスナイパーとアニメに影響されて、曜日ごとに言う事が変わる単純単細胞なガキ共を、俺は冷めた目で見ていた。
そんなガキ臭いアニメ何て全然興味無いが、コタローは楽しい様で俺が1話から187話まで休まず録画したアサシンキャットを、熊と一緒に見ていたら熊が自分をキャットだと勘違いし始めた、コタローの事をマスターと呼び始めて喋り方もキャットと同じになっていった。
そして
ヒュン!ヒュンヒュンヒュン!ヒュン!!
コタローに作業を中断させられて、外の駐車場に連れ出された先で見た光景は、熊がワイヤーを使いこなし空き缶を細切れにしている光景だった。
『…』
『熊さんったら凄いんだよ!アニメ見ただけでキャットの必殺技キャットスラッシュを覚えたんだ!』
『…なぁ』
『ん?』
『それ…勿論先生に提出するんだよな?』
『え?なんで?』
『なんでって!どう考えたって凄すぎるだろ!S級進級どころか軍に引き抜かれるレベルだぞ!』
『うん、僕も熊さんがここまで凄い何て思わなかったよ』
『違ーーーう!熊じゃなくてお前だ!お前!』
『え?僕?』
こいつは筋金入りの馬鹿だ。
『だいたい何で隠すんだよ!馬鹿のフリしてねぇで、ちゃんとテスト受けて高得点とってS組に編入出来てれば、学費全額免除!給食には毎日デザートが付いて、お前の里親探しも全面的に協力してくれる!今の辛い生活からおさらば出来るんだぞ!?』
そう今コタローの置かれている状況だって、無価値の愚図だと判断されてるからで、価値のある人物だと認めて貰えれば優遇される。
『確かにA・I組んだだなんて、最初は信じて貰えねーかもしれないけどテストで満点とってれば、本当の事だって信じて貰えるさ!』
『…うん、知ってるよ』
『だったらこいつを、今回の夏休みの課題に…『でもそんな事したら、熊さんと才雅君に会えなくなるんだよね?』
『え?…まぁ熊は先生の手から軍の技術部に回されて、帰ってくるかは怪しいな、お前も今後の待遇の事とか色々と忙しくなって、俺とも会う機会減るかもしれねーな』
『それだったら馬鹿で良いよ』
『…え?』
『友達と別れちゃうくらいなら、僕は馬鹿のままで良いよ』
そう言って笑うコイツが、俺よりも優れていると思うと怒りで目の前が真っ白になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます