第4話 友達
『ねぇねぇ、最近家に帰ってから直ぐパソコンつけてるよね?何やってるの?』
『A・Iのプログラムを組んでるんだ』
『エーアイ?』
『Artificial Intelligenceの略、人工知能だ』
『人工知能?そんなの作ってどうするの?』
『今回の夏休みの研究レポートとして提出して、軍に引き抜いて貰う為さ』
『どうして?』
『俺様の様な大天才を、頭足りない幼稚な奴らと連ませられている何て屈辱以外の何もんでもねぇよ、なのに『お前は軍で働くにはまだ幼過ぎる』って門前払い…ったく価値のわからねぇ馬鹿な大人が何言ってやがるってんだ』
『えークラスメートと離れ離れになっちゃうんだよ?寂しくないの?』
『は?あんな自分より頭良いからって、妬んで距離を置く自ら自分は脳無しだって、認めてる低レベルな連中の事なんか誰が寂しがるかよ、そんな奴らと未だに仲良くなりたい、何て考えてるお前の気が知れねーよ』
『だって僕熱出すまで普通の子だったんだよ?それまでみんなと仲良くしてたんだもん』
『………けっまぁいい、とにかく開発課希望者の俺は忙しいんだ、軍人のなり損ない(一般進路希望者)はそこにある本でも読んで大人しくしてろ』
『うん…わかった』
『…これを完成させて俺の方が優秀だって事を証明させてやるんだ』
『?』
何でそんな事言うんだろ、独りは寂しくて怖いもんなのに………人工知能?独りになっちゃった僕と友達になってくれたのも、これを作ろうと必死になってるのも本当は寂しいからかな?
僕がこれを作って友達を増やしてあげたら、喜んでくれるかな?
「才雅君、夏休みに入ってからずーーーっとパソコンと睨めっこしてて必死にA・Iのプログラム組んでたんだ、たまに休憩って僕と遊んでくれるんだけど、それ以外は僕と遊んでくれなくて…プログラム組んでる間はやる事なかったから、今まで作ったオモチャのメンテナンスしたり才雅君の本読んだり、ゲームで遊んだりしてたんだ」
「…才雅君の家に行かないという選択肢は無かったんですか?」
「僕も才雅君に邪魔なら『僕いない方が良い?』って聞いたんだけど『どうせ行く場所ねーんだろ?何してても良いから、俺の部屋にいろ』って…それで僕気付いたんだ!才雅君が必死になってA・I作ろうとしてるのは、友達が欲しいからだって!だから僕も早く友達が出来る様にお手伝いする事にしたの」
「…」
「才雅君が纏めたレポートや集めた資料を読んで、才雅君が貸してくれたパソコンにプログラム打ち込んで、A・Iを作り上げたんだ、それで一週間前に完成させたんだ!」
『マスター、正確には8日前です』
「そうだっけ?」
「(ああそういえば丸1日寝てた事知らないんでしたっけ)」
「それで完成させて熊さんにインストールさせて、いっぱい勉強させたんだ!その時に“アサシンキャット”を見せたんだけどね、あっアサシンキャットは天才科学者の少年が作った猫型ロボットが、マスターである少年を悪の組織から守るってアニメ何だけど、それを見せてたら熊さんが自分の事キャットだって思い込んで、ワイヤーの使い方もマスターしちゃったんだ!!」
「(あっだから熊なのにニャンって言うんですね)」
「それで熊さんが2日前に、キャットの必殺技のキャットスラッシュを覚えて、空き缶を木っ端みじんにしたのを才雅君にも見せたんだ!…そしたら才雅君に嫌われちゃった」
身振り手振りで、そのキャットスラッシュを表していたコタロー君の動きが止まり、声色に悲しい色を見せる。
「キャットスラッシュを見た後にね、才雅君に熊さんを夏休みの自由研究に提出して、軍に行く気は無いのか?って聞かれたんだけど僕は才雅君と熊さんとお別れしたくないから行かないって言ったの、そしたら才雅君に『お前何か大っ嫌いだ!二度と俺の前に姿を見せるな!!』って…僕、何で嫌われちゃったんだろう?せっかく友達が増えたのに独りぼっちになっちゃった」
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