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「…才雅君は完成させたんですか?そのA・Iってプログラム」
「ううん、まだ完成させてなかったよ?」
「怒った理由はそれですね、プライドが真っ二つに折られたから才雅君は怒ったんです」
「え?」
「才雅君って子は常に学年で一番で、今まで自分より凄い人がいなかったし出会った事がなかった、そして常に人を見下して来ていた…そこにコタロー君という自分と同レベルの相手がいて、最初は喜んでいましたが彼はある事に気付いてしまったんです」
「ある事?」
「“自分が光太郎より劣っている”ですよ」
「!」
「そして自分よりも上である相手が“自分程度では迷惑がかかる”と自分を過小評価している、ならばその迷惑がかかる相手より格下な自分はどうなのか?自分は天才だと信じて来た自身への価値観が揺らいでいったのでしょう、それで高度なプログラムであるA・Iを作りだそうと試みたが、コタロー君が先に完成させてしまった事により、真っ二つに折られてしまったんですよ」
「ちっ違うよ!だって僕熱出るまで成績最下位だったんだよ?僕の知らない事を沢山知ってる才雅君の方が、ずっとずっと頭良いよ!」
「(ずっと最下位だった事が過小評価に拍車かけてますね)…しかし現に夏休み中ずっと研究してても出来なかった事を、コタロー君は出来ちゃったじゃないですか」
「…がうもっ…僕、友達欲しかっただけで、うっ…才雅君怒らせたかった訳じゃ…ぐすっ」
あっやばい少し言い過ぎたかもしれない、コタロー君がちょっと泣きはじめてしまった。
『天才って呼ばれる者は凡人から疎まれやすいのは何故か知ってる?周囲に持て囃されてるってのもあるけど一番の問題は価値観の違いね、凡人から見れば難解な問題も天才は簡単な問題であり、凡人が汗水垂らして苦労して手に入れるものを天才はあっさり手に入れられる…天才は「何でこんな問題もわからないの?何でこんな事も出来ないの?」って理解出来なくて、天才からすればそのつもりは無くとも、それを聞いて凡人が見下されてるって勘違いするからよ』
『勘違い?実際見下している者もいるからじゃないですか?あなたみたいに』
『そうね、私は凡人を蔑んでそんな相手に攻められて、快感を覚えているわ♡…でも弟は遅咲きの子でね、天才になった途端、友達が離れていって悲しんでいたわ』
『…』
『本当に馬鹿よねぇ凡人って…天才だからって、必ず人を見下している訳じゃないのにね』
ふと脳裏にそう言って、冷笑を浮かべたエムエムの表情を思い出す…そうコタロー君は飽くまで“友達増やしたくて作った”訳で悪気は一切なかったんですよねぇ。
考えている間にもコタロー君は、目に溢れんばかりの涙溜めて必死に堪えてる…どうしよう、子供が泣くの大っ嫌いなんですよね。
「才雅君に嫌われて…またぼぐ、独りぼっちにな゛っち゛ゃった゛」
『大丈夫ですニャンマスター!才雅君は軽はずみに嫌いって言っただけですニャン』
「!っ…才雅君は本当の独りぼっちと言うものを知らないから、簡単にコタロー君に嫌いだなんて言えたんですよ」
「え?」
「才雅君は両親も生きていてコタロー君という友達がいた、本当の孤独というものを知らなかったから唯一の友達だったコタロー君に、簡単に大嫌いだなんて言えたんですよ…今頃すっごく後悔してると思いますよ?」
「本当?…僕がいなくなって寂しいって思ってくれてるのかな?」
「ええ、それに自分が天才だと有頂天になってる子供は、一回挫折を味わっとかなきゃこの先歪んで育ちますよ。特にちょっと自分より優れている人がいるからと、癇癪起こす子が私の様な能力者に会ったら発狂でもするんじゃないですかね?」
「?…私の様な?」
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