死闘4

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


「は!?嘘だろ!」


 アッシュの後方である18階層から聞いた事のある音が近づいて来る。

 前門の虎後門の狼とはまさにこの事、前にはサラマンダーが後方からは魔物の群れが、まさに地獄である。


 グォォォォォォォォォォォ!!!


 獲物を見つけたサラマンダーが、その巨体を左右にくねらせながら凄まじいスピードでアッシュ目掛けて走り出した。


 ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!


「ッツ!『身体超強化』『金剛』」


 俺は慌てて切れかかっていたスキルを再度、使用しサラマンダーから距離を取った。


「最悪だとは一概には言えないな。

 そうだろ・・・蛇骨!」


 カタカタカタカタカタカタ!!


 アッシュの声掛けに妖刀は震える事で答え、久々に自分蛇骨と似た姿のモンスターと戦えることに興奮していた。

 元は大蛇とは言え今は刀であるにも関わらず、元の姿に似たモンスターとは格付けをしないと気が治らないらしい。


 そんな事を知らないアッシュは刀王と蛇骨を構えサラマンダーに挑む。


「魔物の群れが来る前に切り刻んでやるよ!

 トカゲがぁぁぁぁぁ!」


 グォォォォォォォォォォォ!!!!!


 煽られたのが分かったのか体に纏う炎が大きくなる。


「『ウォーターレイン』」


 ザァァァァァァァ!!!


 アッシュはサラマンダーの纏う炎を消そうと水魔法のウォーターレインを使用したが・・・


 シュウゥゥゥゥゥゥ


 グォォォォォ!


 余りの高温かつ無尽蔵に出て来る炎の前に呆気なく蒸発した。

 しかし、水は嫌いなのか足を止め身を捩っている。


「マジか、『鑑定』」


 アッシュはその僅かな隙に少しでもヒントが欲しいと思い、サラマンダーを鑑定する。


【サラマンダー】 討伐ランクA


 元はだったサラマンダーが邪気を多く取り込みモンスター化した者。


 常に炎を纏いドラゴンの様な鱗を持ちトカゲの姿をしたモンスター。

 大きい者では50メートルを超える者もいる】


「・・・なるほど、精霊ね。

『精霊魔法 ソイツが纏ってる炎を消してくれ』」


 アッシュは精霊の二文字にヒントを得たのか、精霊魔法で見えないが周りにいる精霊に炎を消して欲しいと懇願する。


 すると


 グォォォォォ?


 グォォォォォォォォォ!!!


 サラマンダーは纏ってる炎が消えた事に一瞬キョトンと首を傾げたが、直ぐに目の前の餌が原因だと理解し怒りの声を上げる。


「さぁ、ここからが本番だ。

 頼むぞ刀王、蛇骨、行くぞ!」


 アッシュは炎が消えた事で攻撃が出来ると確信し、右に刀王、左に蛇骨を装備しサラマンダーに突撃した。


 グォォォォォォォォォォォ!!!


 ドシン! ドシン! ドシン! ドシン!


 サラマンダーは餌だと思っていた人間に自慢の炎を消され怒り狂い、此方に向かって来る餌を捻り潰さんと大声を上げ走り出した。


「『縮地』・・・『二刀流奥義 牙虎きばとら』!」


 アッシュは瞬時に移動が出来る縮地でサラマンダーに近づき、2本の刀を逆手に持ち垂直に上から突き刺す『奥義 牙虎』をサラマンダーの目に放つ。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 おまけ サラマンダーとの格付け


 蛇骨視点


「テメェどこ中だよ!こちとら若い女を喰いまくった蛇骨様だぞゴラァ!」


 サラマンダー視点


「んだとゴラァ!蛇骨なんて聞いたことねぇわ!田舎もんは引っ込んでろ!こっちは誰もが知ってる

 サラマンダー様だぞ道を開けろや!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る