汚職騎士

 ガシャン ガシャン 


「隊長!こっちにも死体があります!」


「何!警戒して進め!何がいるか分からんぞ!」


 洞窟の中を木霊して人の声と、鎧が擦れる音が聞こえて来た。


「や、やばい、騎士団辺りが山賊を潰しに来たのか!お宝を全部回収するぞ!何もしてない騎士団にやる宝なんて無いんだからな!」


「「はい!」」


 それからアッシュ達は高そうな物からマジックバックに収納し始めた。


 ガサゴソ ガサゴソ


「そろそろここに到着しそうだな、移動するぞ」


「「了解」」


 鎧の擦れる音が近づいて来た為、アッシュ達はお宝の回収を終わらせて洞窟の入り口に戻る事にした。


 —————————


 アッシュ達は来た道を戻ると、騎士達が洞窟内を調べながら歩いていた。


「な!とっ!止まれぇ!何者だ!」


「冒険者ですよ、街道を通っていたら山賊に襲われたのでアジトを聞き出して潰した帰りです」


「冒険者だと?ランクは?」


 アッシュ達に気付いた騎士が大きな声で動かない様に命令した後、傲慢な態度でここに居る理由とランクを聞いて来た。


「Dランクです」


「D?ハッ、寝言は寝てから言え、お前みたいな若造がDな訳ないだろ。

 どうせ、魔獣に襲われて壊滅した山賊のアジトをちょうど良く見つけたってところか。ほら、お前達が持ってる山賊の宝を出せ、没収だ」


「???・・・ハァ〜、流石に騎士を殺すわけには行かないしな、どうするか」


 騎士はアッシュ達のランクを聞いた途端、鼻で笑い山賊達が溜め込んだ宝を横取りする気満々な言動をし始めた。

 それを聞いたアッシュは、ため息を吐きこのバカをどうするか考え始めた。


「ハァ?この俺を殺す?ククク、ランクを偽る雑魚に、入団試験を主席で突破したこの俺を殺す事なんて出来ねぇぞ。良いから早く取った宝を寄越せ!

 卑しい冒険者崩れが・・・おっ!そこの女!良い顔してんじゃねぇか、どうだ?そんな顔だけの男より俺の方が将来安泰だぜ?ほら、こっち来いよ」


「何なんですかこの騎士?ガンツさんやレインさん、レオンハルトさん何かとは別物ですね」


「・・・キモ、何この勘違い汚職騎士は」


「ただただキモいなコイツ、レオンハルトを見習えよ」


 アッシュの声が聞こえたのか半笑いでアッシュを馬鹿にした後、散々自分語りを行い、それだけでは飽き足らず宝を寄越せと高圧的な態度で叫ぶ。


 しかし、国王の切り札であるペガサス騎士団と竜騎士団の団長や騎士達、ヴァリア騎士団を率いるカールやレオンハルトを知っている3人には、目の前にある騎士は小物にしか見えない為、反応は一緒だった。


「な!な!俺は騎士だぞ!!私が命令したら黙って聞いていれば良いんだよ!!

 それに、ガンツ?レイン?レオンハルト?誰だよそいつ、そんな無名な騎士と俺を一緒にするな!

 何度も言うが主席だぞ?冒険者風情が生意気な!」


「「「うわぁ〜」」」


「マスク!何を叫んでいる!」


 3人の反応に怒りで体を震わせながら喚き散らかす。その反応を見て更に引く3人。

 すると、騎士がいる向こう側からマスクと言う者を非難する声が聞こえて来た。

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