お宝
「クソ、ガァァ」ドサッ
最後の山賊が臓物を撒き散らしながら倒れる。
「ふぅ、終わったな。エイミー!そっちはどうだ」
「終わったわ、それじゃあ私はソフィアを呼んでくるわ、お宝探しはお任せするわご主人様」
「分かった、油断するなよ」
エイミーはアッシュの言葉に手を上げて答えた後、背を向けて洞窟の入り口に戻って行った。
「さて、何処に宝を隠してるのかなぁ?」
アッシュはエイミーを見送った後、ウキウキしながら洞窟内を散策し始めた。
—————————
「おお!宝石、金貨、銀貨、銅貨、それに大金貨まで!」
アッシュは宝物庫を見つけ、目を輝かせながら物色していた。
「最高だな、おっ!こっちは食糧庫か?ワインとエールの樽がいっぱいあるな!これは没収だ!
・・・ん?来たか、こっちだ!」
「・・・・・・あっ!お疲れ様です!ご主人様。
どうですか?お宝はありましたか?」
「ああ!いっぱいあったぞ!マジックバックに収納しておいたから後で確認しよう。それよりも、今はこっちだ」
ソフィアとエイミーの気配を感じたアッシュは、大きな声を出して現在地を知らせる。
それに気づいたソフィアとエイミーは、一直線にアッシュの元に急ぎ合流した。
そんなソフィアとエイミーに大収穫だと笑顔で伝えて、現在漁り中の食糧庫を見せる。
「ここは食糧庫、ですか?」
「そうだ、エイ」「これってお茶っぱかしら!」
「・・・ああ、そうだ。エイミーが見たら喜ぶと思ってな。しかし、ここの山賊は随分溜め込んでいたらしいな、エールとワインの樽が5個はあったぞ。
ソフィアも見てみると良い、何か良いのがあるかも知れないぞ?」
アッシュが言い終わる前に、エイミーは無造作に置かれていた瓶の中身を見て興奮し、自分で淹れたいと思っていた矢先の出来事だったので嬉しそうにしていた。
ソフィアとアッシュはそんなエイミーを微笑ましそうに眺めていたが、アッシュの言葉にソフィアも腕まくりをして食糧庫を漁り始めた。
——————————
「見て下さい!ご主人様!こんなに砂糖と塩が!」
ソフィアとエイミーが食糧庫を漁り始めてしばらく経った後、ソフィアが麻袋に入った純白の砂糖と塩を見せてきた。
「ほぉ、調味料は全生産で作れるから要らないっちゃ要らないが、売っぱらえば結構な金額になるな」
「あっ!そう言えばそうでしたね、でもこれだけの量の砂糖と塩を売ったら幾らになるか・・・」
「ソフィア、こっちに胡椒もあったわよ」
「「!?」」
「なんで、コイツら生きていけたんだ?こんな雑魚なら直ぐにでも殲滅させられる筈」
アッシュの言葉に冷静になるソフィアだったが、甘味や塩が貴重な世の中でこれだけの量を売ればひと財産になると喉を鳴らしていた。
そこに、エイミーが更なる爆弾を持ってくる。
それを聞いたアッシュは、なぜこんなに略奪を働いた山賊が生き残っているのか疑問を持ち始めた。
すると
「隊長!こっちにも死体があります!」
「何!警戒して進め!何がいるか分からんぞ!」
洞窟の中に木霊する声が聞こえてきた。
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