粛清
「マスク!何を叫んでいる!」
アッシュ達と言い合いをしている騎士の後ろから怒鳴り声と共にフルプレートの騎士鎧を纏った巨漢が現れた。
「た、隊長!山賊の生き残りを発見しました!」
「なに?・・・本当に山賊か?」
「いえ、Dランク冒険者です。ギルドカードをどうぞ。2人とも、ギルドカードを出せ」
「「はい」」
マスクと呼ばれた騎士は、あろう事かアッシュ達を山賊の一味だと上官に虚偽の報告をした。
しかし、アッシュ達は蹴散らそうと思えば簡単に出来る為、イラつきながらも隊長と呼ばれた男にギルドカードを差し出した。
「・・・どう言う事だマスク?」
「違います!そのカードは偽装です!」
「・・・ハァ、そこの騎士に山賊の宝は全部俺が没収するから寄越せ、って怒鳴られましてね」
「嘘を言うな!!」
アッシュの言葉に高圧的な態度で詰め寄るマスクだが、隊長から静止の声が上がる。
「止まれ、愚か者が!あれだけ叫んでおきながら聞こえない訳ないだろう!
・・・申し遅れました私ジャマール王国所属、治安維持騎士団の10人隊長をしております『ネクス』と申しますよろしくお願いします。
申し訳ありませんでしたアッシュ殿。噂は聞いております、ペガサス騎士団と竜騎士団の団長達ですら倒せなかったドラゴンを一人で倒したと」
「・・・へぇあ?」
「この騎士が愚かなのはもう知っているので良いけど、人選はしっかりした方が良いですよ。
ジャマール王国の剣と盾であるペガサス騎士団と竜騎士団の団長の名前すら知らない様ですから。
それじゃあ自分達はこれで」
「本当に申し訳ありませんでした。
ご忠告ありがとうございます、マスクはしっかりと処分致しますので」
アッシュはもうここに居たくないとばかりに、そそくさと騎士の脇を通っていった。
————————
「ハァ、暇つぶしにと思ったが思った以上に苛ついたな」
「本当ですね!何なんですかあの騎士は!」
「そうね、でも良いじゃない。あの騎士は確実に殺されるわ、上官に嘘を付いたんだもの。馬鹿な騎士ね」
ギャァァァァ!!!!
「あっ、死んだな」
洞窟を出た後、指笛で馬を呼び寄せて到着するまでの間に洞窟のある山から悲鳴が聞こえた。
「ザマァみろ!しかし、今日の夜が楽しみだな!エールの樽が有ったから、夜になったら早速ピッチャーに入れて飲むんで嫌な事を忘れるか!」
「その前にお昼ご飯の時間よ!デザートにケーキが食べたいわ!
後、紅茶の茶葉も手に入ったし淹れてみたいわ」
「ふむ、移動するのも面倒だし、ここで昼飯にするか」
アッシュの言葉にエイミーも便乗し、ストレスを無くす為にケーキを食べたいと声を上げる。
「全く、この2人は食べ物の事になると駄目になるんですから。
それじゃあ、魔道コンロを出してもらって良いですか?」
そんな2人を見て苦笑いするソフィアだったが、自分も少なからずストレスを感じていた為、反対はせずに料理をするのだった。
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