懐疑と異変

「ん?ミア?それにトールとキールじゃないか、なんでここに居る?ここは中級ダンジョンだぞ。

 それにソイツらはなんだ、怪しい見た目をしているが」


 此方に近づいて来た人物は青の月の面々だった。


「!?ア、アッシュ!・・・ひ、久しぶりね貴方の活躍は聞いているわ凄いじゃない」


「ああ、久しぶりだな。

 で?後ろの奴はなんだ」


 ミアは俺がいる事に驚き、目を泳がせながら話しかけて来た。

 しかし青の月の後ろに居る真っ黒のフード付きマントを纏った10人が武器に手を掛けたので、

 此方も刀王に手を掛け問いかける。


「ま、待ってくださいアッシュさん!此方に敵対の意思は有りません」(お願いします武器から手を離してください)


 トールが慌てて俺たちの間に入り手を広げ言う。

 そして、黒マントを纏った者達に小声で武装解除を求めているのも聞こえた。


「・・・まぁ良いだろう、だがなぜここに居るか聞いている、それを答えてもらおう」


 俺武器から手を離し、黒マントを纏った奴からは目を逸らさずに聞く。


「はぁ、分かりました、ここにきた理由は後ろに居る人たちにある事を手伝って欲しいと依頼が来て一緒に行動しているんです。

 あっ!依頼内容は言えないですよ」


 トールは黒マントが武装解除をしないのを確認し、ため息を吐きながら中級ダンジョンに居る理由を話した。


「ふーん、そうなのか。

 でもなんで引き返して来るんだ?帰るなら転移石を使えば良いじゃないか」


「えっ、えーと・・・そう!転移石を落としてしまって引き返しているんだ大変だったよ」


(黒だな、これ以上関わるのはやめた方が良いな)


「そうか、大変だったな、気をつけて帰れよ」


「あっ、う、うん、それじゃあまた」


 そう言って青の月と黒マントを纏った者達は18階層を目指し進んで行った。


「ご主人様!大丈夫ですか!」


「なんなのかしらアイツら」


 青の月と黒マントが見えなくなったのを確認した二人が物陰から飛び出して来た。


「ああ、大丈夫だ。

 若い男女はこの間ダンジョンで助けた奴だが黒マントの連中は知らんな。

 それより、ドロップアイテムを拾ったら先を急ぐぞ」


「分かったわ」 「分かりました」



(・・・アイツらと敵対するかも知れんな、覚悟だけはしっかりしておかないとな)


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ドロップアイテムを拾い終え俺たちは階段を目指し進んでいたが、またもや魔物の群れに足止めを食らい、少なくない時間を無駄にした。


そしてまた進もうと思った刹那、直感スキルが発動した。


「・・・ご主人様、なんか嫌な予感がするんだけど気のせいかしら?」


「いや、気のせいじゃないな。

 ・・・良し撤退だ、二人とも転移石を」


 俺は二人に転移石を使う様指示を出そうと声を出したその時、20階層へ向かう階段がある方向から地鳴りと共に何かが壊された音が聞こえた。


 ゴゴゴゴゴゴ!!!!!ドカンァァァァァァァ!!


「「「!?」」」


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!


「お前達!転移石を起動しろ!!」


 俺は20階層の階段がある方向から来る夥しい数の気配を察知し、二人を先に逃すため鞄を渡した。


「ダメです!!ご主人様も一緒に」パチン


 ソフィアはアッシュが足止めをする為に残る事を拒否したが、そんなソフィアにエイミーが頬を叩く。


「ソフィア!ご主人様を信じなさい!私たちが居れば足手まといになる!早く行くわよ!

 ご主人様、冒険者ギルドに応援を頼むわそれまで持ち堪えて頂戴!」


「任せろ、頼んだぞ。

 ほら!さっさと行け!」

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