スタンピード4

「あっ!申し遅れました、自分はレオンハルトと言います、宜しくお願いしますアッシュさん」


 レオンハルトと呼ばれていた騎士が、アッシュに頭を下げ挨拶をした。

 それに、アッシュも挨拶をして話し始める。


「ああ、此方こそよろしくお願いしますレオンハルトさん、俺のことはアッシュで良いですよ。

 それにしても、レオンハルトさんは閣下のお子さんですか?凄く似ているのですが・・・」


「ん?ああ!そうだ!レオは俺の自慢の息子だ!」


 アッシュの疑問に、カールは満面の笑みで自分の息子だと言い誇らしげに胸を張った。


 そんな父の言葉に、レオンハルトは頬を掻き照れ笑いしながらこう言った。


「ハハハ、俺も父さんの息子で居ることが自慢だよ。いずれは父さんみたいな貴族になるのが夢だ、

 あっ、後、俺の事もレオで良いし敬語も無しでいいよ」


「ガハハハハハハハ!!照れるじゃねえか!だが、いい心掛けだ!民は宝だ!俺の様になるのが夢なら民を虐げないと言う様なもの!自分に負けるなよ!」


 カールは大笑いしながらレオの肩を叩き、自分の息子が良い方向に育っているのを感じ嬉しそうにしていた。


「それにしても、レオは『フォン』が付かないのか?貴族なんだろ?」


「ああ、その事か。それについては、俺が当主に成れば『フォン』と『ヴァリア』が付くんだ、だから、暫くはただのレオンハルトさ」


「ふーん、そうなのか・・・(あ、二刀流のスキルポーションを作らないと)・・・すまんレオ、ちょっとトイレに行ってくるわ」


「ん?ああ、了解」


 レオンハルトと親しげに話し合っていたアッシュは、ピクニックの後に作ろうと思っていた二刀流のスキルポーションを作る為に、レオンハルト達と離れた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ、ヤベェヤベェ、流石に高ランクの魔獣の群れ相手に、スキル無しで戦うには骨が折れる。

『ブラインド結界』

『二刀流スキルポーション作成』

 ・・・良し、早く戻ろう。

 ・・・?・・・・・・・・・『…気ポーション作成』これで良いな」


 アッシュは、外からの視線を遮断する為の結界を張り、全生産を使いスキルポーションを作りに飲み干し、レオンハルトの元へ戻った。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 オォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!


「おっ!アッシュ!良いところに来た!遠くにA、Bランクの魔獣を確認した!そろそろ前線に出てくれ!」


 アッシュが城門に戻ると、カールとレオンハルトが出撃の準備をしており、トイレから戻ったアッシュを見たバッカスが大きな声を上げ出撃を命じた。


「ッツ!了解です!ソフィアとエイミーは!」


「使いを出している!もうじき来るだろう!

 頼んだぞ!銀狼のパーティー!」


「「ご主人様!」」


「来たか!ソフィアは城壁の上から援護を頼む!

 エイミー!油断して死ぬなよ!」


「分かりました!無理はなさらないで下さい、姉さんも気をつけて」


「ふふ、ソフィアも気をつけなさい。

 それと、ご主人様こそ死なないでよね」


 アッシュとソフィア、エイミーは、互いの身を案じながら話していると、カールが騎士団を鼓舞し、それに騎士団全員が足を地面に叩きつけ答える声が聞こえた。


「この街は誰が守る!」


「「「「「「我らヴァリア騎士団!」」」」」」


 ドン!!!!


「魔獣は誰が屠る!」


「「「「「「我らヴァリア騎士団!!」」」」」」


 ドン!!!!!


「そうだ!!ヴァリア騎士団は最強だ!!

 頭の足りない魔獣を捻り潰してやれ!!!!!

 行くぞ!!!突撃ぃぃぃ!!!!!!!」


 オォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!


 銀色に光る鎧を纏った一団が、まるで一つの生き物の様に一糸乱れぬ動きで戦場に突撃した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る