スタンピード3

「ハハハ、まぁ、分からんでもないな。

 だが、いくら強くとも貴族の前で絶対に言うなよ、それ。

 それに、ジャマール王国では国王陛下の忠臣しか主要都市の領主になれないから、この国で悪政を敷いている貴族は殆ど居ないな」


 ギルド長は、笑いながらこの国の仕組みをアッシュに教え、悪徳貴族は殆どいない事を伝える。


 すると、後方から大笑いしながら近づいて来る男がいた。


 歳は40位だろうか、身長は二メートルと少し、金髪をオールバックにして、目は湖の様な青で頬に傷がある偉丈夫。

 そして、ミスリルだろうか銀色の騎士鎧を纏い、騎士団を率いてこちらに近づいて来た。


「ガハハハハハハハ!!その通りだ!

 それに、このダンジョン都市キールは、有事の際に前線に出なければならないから、実力も有る貴族しか領主にはなれんのだ!それに、民は宝だ!悪政など絶対に敷かんぞ!

 それにしても、お前が銀狼か?ダンジョン崩壊の件は本当に助かったぞ!スタンピードでも期待しておるぞ!」


「これは、閣下お待ちしておりました。

 アッシュ、こちらの御仁がダンジョン都市キールの領主、カール・フォン・ヴァリア様だ」


 ギルド長が、笑いながら話に入ってきた男に頭を下げた後、アッシュに男の紹介をした。


「初めまして、アッシュと言います。

 今日は宜しくお願いします閣下」


「うむ!宜しく頼む!バッカス!戦況はどうだ!」


 アッシュはカールに頭を下げて挨拶をし、カールがそれに応えた後バッカスに戦況を聞いていた。


「今の所、負傷者は居ますが死人は出ていませんので、問題ないかと」


「そうか・・・良し!聞け!序列下位の騎士は戦闘に加入!中位の騎士は後方にてサポートに徹し、各自の判断で戦闘に参加しろ!上位、最上位の騎士は魔の森から来るであろう魔獣との戦闘に備え、待機!ダンジョン崩壊では冒険者ギルドに手柄を取られた!今度は俺達の番だ!気合を入れろ!」


『『『『オォォォォォォォォォォ!!!!』』』』


 カールはバッカスから戦況を聞き、後ろで待機していた騎士団に指示を出し、それを聞いた騎士達は己を鼓舞する為、拳を上に突き上げ雄叫びを上げ移動を開始する。


 しかし、カールが騎士達に発破をかける為に選んだ言葉に、バッカスは苦笑いをしていた為アッシュはカールに問いかける。


「・・・あの閣下?余り冒険者と騎士団の溝を深めるのは良くないと思うのですが・・・」


「ガハハハハハハハ!!安心しろ銀狼!アイツらも本気にしていないからな!

 そもそも、騎士だからと言って傲慢になる奴を、俺の騎士団になんか入れてやるもんか!だから安心しろ!なぁ!レオンハルト!」


 カールはアッシュの疑問に笑いながら答え、後ろに控えている上位、最上位の騎士の一人、レオンハルトに話しかける。


 レオンハルトは、で髪は短く、目の色はブルーのイケメンだ。


「ええ、そうですね、我々だけでは街の治安維持だけで精一杯なので、ダンジョンの魔物を間引きしてくれる冒険者は無くてはならない存在だと感じますね」


 カールに話しかけられたレオンハルトと言う騎士が、コチラを見ながらそう言った。

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