王都への旅路2 〇〇視点

「ふぃい〜美味しかった〜ご馳走さん」


「ご馳走様、美味しかったわソフィア」


「ふふふ、お粗末様でした」


 アッシュとエイミーは、満足げに椅子の背もたれに体重を掛けつつソフィアに食事の感想を伝えた。


「いや〜それにしても、ソフィアとエイミーの故郷の話しを聞けたのは良かったな」


「そんなに楽しくなかったでしょ?普通の村で普通に育っただけよ」


「いや、そんな事はないさ。

 この世に普通なんて言葉は有るけどな、普通の成長、普通に歩む人生なんて無いんだよ。

 だから、お前達の過去を聞いて楽しかったぞ。

 ・・・さて、食後の休憩でもするか。川もあるし釣りでもしながらのんびりするかな」


 アッシュは恥ずかしげにそう言うと、マジックバックから釣り道具を出し、川へ向かって行った。


「ふふふ、ご主人様の言う通りですね。

 今も、村で過ごしていたらご主人様に会えなかった訳ですし。でも、自分で言って恥ずかしがるのはこっちまで恥ずかしくなりますね、姉さん」


「全くよ、カッコつけるなら最後までやり通しなさいよね。もう、ソフィア私達も釣りに行くわよ」


「は〜い」


 その後、3人は仲良く肩を並べて釣りをし、暫くして王都へ向けて馬を走らせ出した。


 ———————————-


 〇〇視点


 ウゥ〜! ウゥ〜! カンカン! カンカン!


 ザワザワザワザワ ザワザワザワザワ


 ここはアッシュの生まれ故郷、日本。


 アッシュ・・・いや、太郎が不発弾の爆発に巻き込まれて死んだ神社。

 パトカー、消防車、救急車、自衛隊の車両、などなど沢山の車が神社に集結していた。


 そして、その騒がしさや爆発音を聞いた近隣住民が不安そうに神社を眺め、隣の住民や野次馬との話し合いでざわめきが起きている。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


「太郎!太郎!どこだー!」


 何処からか調で出た名前を叫びながら走り回る老人と老婆がいた。


 それを路地に背を預けながら眺めている。


「・・・・・・・・・・・・やっぱり生きてた、























 殺さなきゃ」



 でも、太郎と呼ばれる人物がもし不発弾の爆発で死んだと仮定しても、おかしい、不発弾なんて放置してたら爆発するものでもない、おかしい、何かあるはず、そこから調査しよう。


「・・・・・・・・・・・・太一さんは私のもの。

 私と太一さんの愛の結晶以外いらない。

 私はこんなに太一さんの事を愛していたのに、なんで、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!





















 殺さなきゃ。











 あの女の血なんて残さないんだから」


 そう言うと、女は路地の奥に姿を消した。


「太郎!太郎!どこだ!返事をしろ!」


「ああ!重蔵!太郎が境内に入って行ったのを見たって奴が居た!」


「ああぁ、ああぁ、・・・どけぇ!警官ども!そこをどけぇ!」


「い、いけません!まだ危険物があるかもしれないんです!」


 老人の仲間らしき人物が情報を提供すると、老人は絶望を顔を張り付けながら規制線の向こうへ行こうと、警官と取っ組み合いをする。


 すると


「・・・・・・う、うわぁ!う、腕だ!腕がある!」


「うぁ、た、たろうぅ。嘘だ、、、」


 一人の老人と一人の老婆がその場に膝を着いてしまう。


 女が去った後には老人と老婆の啜り泣く声が響くだけだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る