王都への旅路3 太一視点

 パカラッ パカラッ パカラッ パカラッ


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・」


「「「暇だ(ね)(ですね)」」」


 昼飯を食べたアッシュ達は馬を走らせているが、景色は変わらず、何もイベントが起きない為、口数が少なくなり仕舞いには誰も喋らなくなってしまった。


「盗賊とか山賊とか出ないのか?」


「流石に王都へ向かう道ですので、居ないかと」


「・・・そうね、流石に居ないでしょう」


 ——————————-


「・・・本当に居なかった。

 はぁー苦痛だったな。今度、馬車でも買うか〜」


「そうですね、馬車であれば中でカードゲームなんかも出来ますし」


「そんな事より、そろそろ野営の準備をしなきゃいけないわよ」


 アッシュの言葉にソフィアは肯定しつつ馬車の利点を言う。

 しかし、時間は夕方過ぎ、日が暮れるのも時間の問題だ、エイミーは呑気に話している二人に野営地を決めるように言う。


「ん?そうだな・・・あそこの岩場なんてどうだろう?」


「良いですね!それじゃあ早速行ってテントを立てましょう!」


「お腹が空いたわ、早く立てましょう」


 アッシュの指差した草原に早速テントを立てて、魔道ランタンの出番だ。


 ブォン


「うぉ!凄いな、テントとコンロの周りが明るくなったぞ、これは見やすいな。

 それじゃあ、ソフィア、エイミー、料理は任せるぞ。俺は焚き火でチーズを炙っておくよ」


「「はい!」」


 それから、ソフィアとエイミーは二人で仲良く晩御飯の準備をし、アッシュは肉屋で買ったチーズを串に刺して直火で炙り始めた。


 ——————————-


「「「おぉ!!」」」


 アッシュ達の目の前には、直火で炙られたトロトロに溶けたチーズを纏ったバゲット、昼間に釣ったサンジマスの塩焼き、アズパラのベーコン巻き、ミネストローネ、どれもこれもが美味そうだ。


「た、食べるか!頂きます!」


「「頂きます!」」


 それから3人は、空腹を無くす為に沢山食べた、バゲットを食べれば溶けたチーズが口との間に橋をかけ、サンジマスの塩焼きは程よい塩加減で酒が欲しくなり、アズパラのベーコン巻きは懐かしい醤油の香りが鼻を抜け、ミネストローネはトマトの旨味が感じられる。

 そして、これを野外で食べると言うのが最高のスパイス。


「美味いな」

「はい、美味しいです」

「・・・お肉屋さんのチーズがすごく濃厚で美味しいわ」


 3人は自分達が作った食事に舌鼓を打ち片付けを終えた後、初めての魔道テントに足を踏み入れた。


 ————————


 太一視点


「貴方、太郎の存在がバレたわ」


 太郎、いや、アッシュを見守っていたら雪が大慌てで近づいて来て、懸念していた事が的中したという事を伝えてくる。


「・・・・・・やっぱりバレたか、女って怖いね」


「ふふふ、そうね今頃気づいたの?」


「いや、彼女に時から分かってたよ。それにしても、ギリギリだったね。

 ちょっと強引だけど、運良く不発弾があって良かったよ。何もない所で爆発を起こすより、原因があった方が皆んな納得するだろうし。

 ・・・ふぅ、でも良かった。

 あの女はどう足掻いたって人間の域を出ない、異世界に居る太郎には絶対に辿り着けないからね。

 いや〜良かった良かった」

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