スタンピード 魔神教・司祭視点

「了解した、後で荷物や死体を確認する。

 アッシュは急ぎ城門に向かってくれ、俺も後で行く」


「了解しました、それではお願いします」


 俺はギルド長に青の月が死んでいた事を伝え、3人の死体と3人が持っていた荷物を渡した後、城門に急いだ。


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 ウォォォォォォ!!!!!!


 ドガァァ! ドガァァ! 


 アッシュが城門に着いた頃には、戦闘が始まっていた。


 大楯を持つ兵士や冒険者が魔獣の進行を阻み、城壁の上から魔法使いや弓矢を構えた兵士達が攻撃を仕掛け、怯んだ魔獣に槍士が追撃をする。


「おっ!銀狼!ようやく来たかおせ〜ぞ!」


 俺を見かけた冒険者が声を掛けてくる。


「すまん遅くなった。

 それで、戦況はどんなもんだ?」


「今の所たいしたことね〜な、数は多いが殆どがゴブリンとか低級の魔獣ばかりだ」


「そうか、じゃあ俺はイライラしているし前線に出るか」


 俺は話しかけて来た冒険者に戦況を聞き、青の月の件でイライラしていたから前線で暴れようと前に進む。


「おいおい、魔法の餌食になるぜ?やめときな。

 それに、直ぐに暴れる事になる。

 今は休憩しとけ」


「?直ぐに暴れる事になる?どう言う事だ?」


 俺は冒険者の言葉に疑問が芽生え聞き返す。


「あん?ダンジョン都市キールの東に何が有るのか分かってんのか?

 あの悪名高き魔の森だぜ!

 魔の森の手前でスタンピードが起きたって事は魔の森の魔獣共が移動を始めたからだよ!

 絶対来るぞ、化け物共がな。

 だから、今前線に出てるのはF、Eランクのルーキー共なんだよ。

 だ、か、ら、暫くは俺たちの出番は無しだ」


「そうだった、すっかり忘れていた。

 だからランクが高い奴が後方にいるのか」


「そう言うこった」


 冒険者の男はそう言うと前線のルーキー達に目を向けた。


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 魔神教・司祭視点


「大司教様!スタンピードを起こして来ました!」


「おお!そうか!ペドロ司祭、良くやった!

 ガハハハハハ!流石の銀狼も討伐ランクAの群れはどうしようもあるまい!」


 大司教はペドロと言う司祭の報告に上機嫌になり高笑いを続けている。


「ありがとうございます、それでは失礼します」


 ペドロは大司教がある部屋を出て、部下と合流する。


「いやぁ、楽な仕事だったな、ハハハハハ!」

「本当だぜ!しかもあのミア?とか言う女を抱けたのも最高だったぜ!ガハハハハハ!」

「お前らは良いよな〜俺の番の時はもう壊れてたぞ!」


「お前たち、観察班からの報告は何か有るか?」


 ペドロは今回の任務で犯した女の話をして笑い合っている部下に、スタンピートを観察している班からの報告が有るのか無いのか聞いていた。


「おお、司祭様。

 観察班からの報告は今の所ないですね。

 それにしても、司祭様はえげつないですね〜仲間の前で犯すなんて、ガハハ!

 それだけじゃ飽き足らず、銀狼が助けに来ない事も伝えてな、ガハハハハハハハ!

 真っ白に染まった死体が最高に笑えたぜ!」


「褒め言葉として受け取っておこう。

 あの女が銀狼と寝た事は掴んでいる、だから心を折るためにやったんだが効果抜群だったな。

 それに、魔神様を復活させるための心臓も三つ手に入ったしな、青の月のメンバーには感謝しないとな。ハハハハハ」


 それからペドロと部下たちの猥談は続く、自分達に死が近づいてるとも知らずに。

 適当に放り投げて置いた青の月の死体が、銀狼に発見されているなんて知らずに。


 余命はあと少し。

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