魔神教

「それにしても青の月か・・・アイツら何に巻き込まれやがった」


 ギルド長は苦い顔をして呟く。


「・・・俺は青の月と関わりが有りましたが、もし俺の敵になるなら・・・斬りますので」


 俺はギルド長の目を見て決意を新たに宣言する。


「・・・そうか。

 アッシュ、お前は魔神教って知っているか?」


 ギルド長は一言だけポツリと言った後、魔神教と言ういかにもな宗教の存在を知っているか聞いて来た。


「魔神教ですか?いえ知りませんけど黒ローブの連中がそれかも知れないと言う事ですか?」


 俺はギルド長に魔神教の事を聞いてみた。


「ああ、そうかも知れん。

 この間の初級ダンジョンに出たユニークモンスターの件は覚えているだろう?

 それも多分、魔神教の仕業かも知れんのだ。

 だからお前からユニークの情報をもらった後、初級ダンジョンに調査隊を派遣したのだが今回はそれが裏目に出たな。

 それに魔神教が活発に動いている為に高ランクの冒険者はそちらに掛かりきりになってな、ハァ、やられた。

だが、お前が居てくれて助かった、出来ればまだこの街にいて欲しいが・・・」


 ギルド長はアッシュに冒険者ギルドがしていた事を包み隠さず伝えていた。

 ギルド長からしたら最高戦力であるアッシュを失う訳にはいかないのだろう。


「なるほど、高ランクの冒険者をこの街から離す為の陽動だったと言う事ですか。

 それにしても、その魔神教は何が目的でダンジョン崩壊を起こしたのでしょうか?何か心当たりは有りますか?

 あと、俺は暫くの間この街から去る気は無いので安心して下さい」


 俺はギルド長の心配事を理解しつつ魔神教には良い感情が無い為、この街に居る事を伝え魔神教の事を聞いた。


「ありがとう、ここで現状の最高戦力が居なくなるのは避けたかったから助かる。

 それと、魔神教についてはよく分かっていないと言うのが現状だ。

 まぁ、魔神を復活させるのが目的だと思うが」


 ギルド長はアッシュが残る事に感謝し、魔神教に付いては分からないと伝えた。


「そうですか、でも単純に考えれば生贄とかですかね?ダンジョンを崩壊させて魔神教が得るのは人の死体くらいでしょ?後は瓦礫の中から金とか宝石とかくらいですかね?」


 俺は適当に思った事を言うとギルド長が話し始める。


「生贄か・・・もしそれが正解なら魔神教は死体を手に入れられなかったと言う事。

 今度は何をすると思うアッシュ」


 ギルド長が次に魔神教が仕掛けるとしたら何をするか聞いて来た。


「うーん、俺だったら2回もダンジョンでの作戦が失敗したら・・・そうだな〜スタンピードでも起こすんじゃ無いですか?

 これなら死体は確実に手に入りそうですよね。

 神殿にいる冒険者も直ぐには城門には来られないだろうし、もしスタンピードを阻止されても住民が死んでその死体を回収するくらい簡単ですからね」


 俺がそう言うとギルド長は考え込む。


「うーむ、もし魔神教が死体を手に入れたいのであればそれが一番だな・・・良し!俺はこの後、領主様に城壁の警備兵を増員する様に相談して来る、もしスタンピートが起こったら前線に出てくれるか?アッシュ」


 俺はその言葉に笑って答える。


「任せて下さい」

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