謁見その2
「よい、面を上げよ」
エドワード静かながらも覇気のある声が玉座の間に響き渡る。
「・・・お前がスタンピードを鎮めた銀狼か。
お前達が居なければダンジョン都市は壊滅していたと報告があった。
そんなお前達に褒美として貴族位を与えたい・・・と言いたいが、お前達は冒険がしたいと言う理由で冒険者になったと報告が来ている、断るのであろう?」
「誠に有難い褒美ではありますが、お断りさせて頂きます」
俺はエドワードの提示した褒美を断った。
すると
「冒険者が陛下の褒美を断るか!!なんたる不敬!
陛下!この様な者に褒美など不要で御座います!」
壁際にいた貴族達がこぞってアッシュ達を罵倒し始めた。
やれ『不敬』だの
やれ『無礼者』だの
そんな中エドワードの声が響いた。
「はぁ〜静まれお前達。
ここには我の信頼する家臣しか呼んでおらぬ、故にそんなパフォーマンスは必要ない。
・・・すまんな銀狼。
貴族とは面倒な生き物でな、国王の褒美を断る者や無礼を働いた者を叱咤する事で忠臣であると周りにアピールする習性があるのだ。
お前達も謝らんか」
『畏まりました、申し訳ない銀狼殿』
エドワードの叱責に壁際の貴族達は頭を下げ、直立不動の姿勢をとった。
「いえ、気にしないで下さい。
ある程度は貴族社会の礼儀等は知っているつもりですので」
「感謝する、それで褒美の件だがどうする?
貴族位では無いとすると・・・金か?しかしそれだけと言うのもな〜・・・何か他に希望は無いか?
国の恩人に金だけをやると他国からバッシングを受けるのでな」
「・・・それでしたら、王都のオークションに参加した後クリス共和国に向かうつもりなので一筆書いて貰っても良いでしょうか」
貴族達の謝罪を受け入れた後、俺はクリス共和国に向かう為のサインを書いて貰う様にお願いしてみる。
「ふむ・・・良いだろう、それとオークションの景品を山賊から取り戻したのも銀狼だったな、それの報酬も上乗せしておこう。
では、冒険者パーティー銀狼にクリス共和国への通行書と聖金貨5枚を褒美とする!」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます」」
エドワードの決定に俺達は頭を下げて感謝の意を示した。
「うむ、褒美の準備に暫し時間を貰う、控え室で待っていてくれ」
「分かりました」
「それでは冒険者パーティー銀狼の方々は控え室にお戻り下さい。
これにて謁見の儀を終了と致します」
————————
コンコン
「どうぞ」
ガチャ
控え室に戻って来て数十分、控え室にノックの音が響きエドワードが従者を従えて控え室に入って来た。
「待たせてすまんな。おい、褒美を」
「アッシュ様こちらをどうぞ」
従者はエドワードの指示で一枚の紙と5枚の聖金貨を差し出して来た。
「ありがとうございます。それで・・・どうして国王陛下がわざわざこちらに?」
俺は褒美を受け取った後、何故エドワードが褒美を渡しに来たのかを聞いた。
褒美を渡すだけなら従者だけで充分だからだ。
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