其の七 (途中まで/当時未公開)

「のーぶながさん、のぶながさん♪ お腰に付けたー、きびだんごー♪」


 馬を駆けさせるわしの後ろから、南瓜カボチャの馬車に乗ったリカの脳天気な替え歌が聴こえる。

 がらごろがらごろと音を立てて平原を行く馬車は、リカの時代の単位で言うなら「時速三十きろめーとる」は出ておるはずじゃ。本来なら「中世よーろっぱ」の頃の馬車など「さすぺんしょん」も効いておらず乗り心地は最悪であったと聞くが、そこはそれ、魔法で出しただけあって、それなりに車内は快適であるらしい。それを引く馬が重量を負担に感じておる様子もない。何ともご都合主義な話である。


「ひとつー、わたしに、くださいなー♪」

「やめい。わしは桃太郎ではない」

「ももたろう、とは何ですか……?」


 そうして大地を駆けること一時間ばかり。地平の彼方に小さな町が見えてきた。

 なるほど、姫が言っておった通り、町の中心には教会があるようじゃな。空に高く突き出した十字架は、わしの時代にも布教に来ておった伴天連ばてれん達の切支丹きりしたん信仰と同じもの。こちらの世界でどう呼ぶのかは知らんが、姫が「唯一神の加護」と言っておったところを見ると、わしらの世界の「きりすと教」と似たような一神教なのじゃろう。


(以下、未完)

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