本編(未完)
第1話 妖怪法廷
「――以上、
机の上の書面を手に取りもせず、後ろ手に胸を張った姿勢ですらすらと述べる彼の
「よって、原告は、
当事者達を挟んで真正面には、黒の
「――キュウリの支給を求めるとともに、今後の労働環境の改善を強く要望するものである」
頭の皿と背中の
(……さすがにこれは、小説のネタにも使えないなあ……)
膝の上に広げたノートにせかせかとメモを取りながら、兼業作家二年目の志津は、傍聴席のカッパ達に悟られないように小さく口元で溜息をついた。
「では、被告側……」
白山が着席した直後、幽霊の裁判官は被告席に顔を向けた。そこでは、カッパ達の雇い主である
(……誰が信じてくれるのよ、こんな状況)
妖怪の当事者達の争いを、幽霊の裁判官が裁く
(……まあ、仮に小説に書くなら、あの場面からよね)
新作のプロットだと言って提出しようものなら間違いなく編集者に怒られそうな、その一幕を。
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