「あやかし白狼リスタートにあたって」(2019年1月)
皆様、いつも応援ありがとうございます。そしてごめんなさい。
このたび、『妖怪だって有給が欲しい! ~弁護士ホワイトウルフのあやかし労働法相談~』はカクヨムコン4への参加を中止し、別の作品に引き継ぐことに致しました。
というのも……
本作『弁護士ホワイトウルフのあやかし労働法相談』は、既存作『ブラック企業をぶちのめせ!』が有していた「お仕事モノ・法律モノ」という特徴と、キャラ文芸の定番人気テーマである「あやかしモノ」を掛け合わせた作品として、一定の需要をにらんで書き始めたものだったのですが……
今日までに何人もの読者さんに読んで頂き、それは大変嬉しく有難いことなのですが、しかし、皆様のお怒りを恐れず正直に述べてしまえば、どうも思ったほど一般読者の食いつきがよろしくない。
内容を見た上で引き返すのならともかく、トップページへのアクセス自体が私の他の作品と比べても大変少ないので、これはタイトルやキャッチコピーによほどの問題があるのかな?と……
プロアマ複数の作家仲間に相談し意見を募ったところ、ライトノベルに通じた方達からこんな教示を賜りました。
「板野さん、
キャラ文芸であやかしモノが好まれるっていうのは、こういうことじゃないんだよ」と……。
単に妖怪が出てきてお悩み相談をやるお仕事モノを書けば「キャラ文芸で人気のあやかしモノ」になるというわけではないのだ、と。
つまり私は大きな勘違いをしていたようなのです。
そもそも、あやかしモノが主に好まれるのは女性向けキャラ文芸。その界隈で最も重要視されるのは、ずばり「イケメンへの萌え」であるとのこと。
イケメン妖狐とか、イケメン陰陽師とか、そういうわかりやすい女性向けキャラを出して活躍させなければ、「キャラ文芸のあやかしモノ」にはならないというのでした!
なるほどなるほど。そうですよね。どんなジャンルにも「これがなきゃ始まらん」という必須要素があります。異世界ファンタジーに美少女が、推理小説に探偵役と謎解きが、特撮ヒーローに変身と必殺技が、マクロスシリーズに歌と三角関係が、48グループに劇場公演が必須であるように、キャラ文芸のあやかしモノは、萌えるイケメンがいなければ始まらないということなのでしょう。
事前のリサーチ不足が完全に仇となり、『弁護士ホワイトウルフのあやかし労働法相談』は、その視点を全く欠いていました。
白山白狼の顔がそこそこ男前だという設定はあるのだけど、そういうことではない。美形という記号をただ備えていればイケメンの話になるわけではない。アイドルにステージが必要なように、イケメンにはイケメンという属性を引き立てる物語が必要です。
これはもう一から書き直すしかないぞと。コンテスト期間残り22日にして、板野は腹をくくりました。ここまで読んで下さった読者さん達には申し訳ないけど、既存の3万字は全て白紙に戻して、新たな設定、新たな作風のもと、別の作品で出直そうと。この際、前作からの延長で白山白狼本人が妖怪の法律相談を受けるのではなく、イケメン妖怪としての「弁護士ホワイトウルフ」を新たに造形し直し、ヒロインはじめ周りの人間関係も一新して、前作とは全く別のものにしてやろうと。
幸い、弁護士ホワイトウルフシリーズの世界には、「白山白狼の活躍を志津が小説に書いている」という、この上ないエクスキューズのガジェットがあります。じゃあ、新たに書き直すほうの作品は、志津が現実の白山白狼をモチーフに書いているフィクションということにしてしまえばいい。それならば、新たなホワイトウルフがもふもふ尻尾のイケメン妖怪に魔改造されていようとも、何ら矛盾は生じません。「これは志津が書いた作中作です」で全て通ってしまう。なんて万能キャラなんだ、シーズー君。君が主人公で良かったと初めて思ったよ。
……というわけで、これまでの『弁護士ホワイトウルフのあやかし労働法相談』のほうを楽しみにして下さっていた皆様には大変申し訳ありませんが、そちらの更新はしばらくストップして、新作で出直します。弁護士ホワイトウルフが法の力で悪を成敗するという本質は残しつつ、読者に需要のある「キャラ文芸のあやかしモノ」へと換骨奪胎します。大きな振り幅ですが、どうか振り落とされずに付いてきて頂けますと幸いです。
【新作】
『あやかし法廷 ~妖怪弁護士ホワイトウルフの事件簿~』
(再掲註:ここに新作のURLが入っていました)
宜しくお願い致します!
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