概要
太正十一年。帝国陸軍中将、兒島英治は凶刃に倒れた。生涯大切にすると決めた妻は既に亡く、富国の為に生きてしまったことを悔やみながら死んでいく。
しかしなぜか。死に際の願いを神が聞き届けたとでもいうのか、英治は見知らぬ景色の中へ再び立つこととなる。
そこは亜人、獣人が社会を形成する異世界。
「ここに芙蓉子も居るのか?」
大神の導いてくれた世界なら、そんなこともあるかもしれない。
濃い戦の臭いを嗅ぎ、助けられた恩義をも返さねばならない。
今度こそ、妻との約束を守る。英治は新たな戦いの人生を歩み始めた。
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- ★★★ Excellent!!!帝国軍人の転生先は、異世界だった。新しい戦いと、大切な約束の物語。
帝国陸軍中将・兒島英治は、生涯大切にすると決めた妻・芙蓉子を喪った後に、太正十一年に暗殺される。
しかし、確かに命を落としたはずなのに――気づけば、亜人・獣人が社会を形成する異世界の大地に立っていた。
この世界のどこかに、先に黄泉へ旅立った妻も流れ着いているかもしれない。右も左も分からない異世界で、一眼人の女性・ロタに助けられた英治は、ロタが自分を呼ぶときの名前である「エッジ」として生き、亡き妻を捜しながら、ロタたちが直面しているさまざまな問題に向き合い、新たな戦いの中へ身を投じていく。
英治/エッジがとにかく格好良く、帝国軍人だった経験を活かして戦いに挑む姿からは、かつての人生で培って…続きを読む - ★★★ Excellent!!!栄治が求めし芙蓉子。美しい花からエッジが求めし者は妻の面影ではないか。
主人公、兒島栄治は、帝国陸軍中将であり、厳しい世界において、芙蓉子を妻にした。
芙蓉子は、美しい花の名によく似ている。
花の凛とした姿が、芙蓉子を表しているかのようだ。
しかし、先に逝かれてしまった。
栄治は、己の生涯を愛する妻に捧げることが、愛だと思い続ける。
後悔が甚だしい。
その折、栄治は、暗殺により命を落とす。
気が付けば、日本でもない、あの世にしては不思議な、異世界へ来ていた。
そして、自らは二十代に若返り、名を聞こえるままに、エッジとなる。
また、顔貌から、ハンブルとも呼ばれる。
この世界には、一つ目、三つ目の種族がおり、希少な二つ目はハンブルと呼ばれるからだ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!帝國軍人、異世界へ行く。亡き最愛の妻との約束を果たすことはできるのか
異世界転生の物語は多くあれど、主人公が元日本帝國軍将校という作品は少ないのではないでしょうか。
現代とは違う、百年前に生きた男性。ゲームもラノベもない時代の人です。異世界に関する予備知識はありませんが、戦争に関わっていた生の経験があります。
本作は、主人公・英治/エッジが帝國軍人だったからこそ、見知らぬ異世界の軍事的戦略に係るシーンに説得力が生まれ、ストーリーに深みが増していたように思います。
人種間の力関係、特殊な力を持つ宝物を利用した戦略、政治的駆け引きなど、大変読み応えがありました。
一眼人のロタが、非常に魅力的でした。
凛として心根が靭く、誠実な志を持つ人。現代的な強いヒロイン像…続きを読む