第3話「初召喚」

 街に繰り出すといっても僕は魔族、検閲や検査があったら入れないのでは……いや諦めんぞ、寒村や開拓村のような場所なら騎士や兵士は常駐していないはず。狙うならそこ、何かの返礼でジャガイモと塩と油をいただく。ツノと翼を隠して旅の冒険者とでも言えば、魔力の高い人族にしか見えないだろう。


 それだ、それがいい。


「よし、このプランで行こう」


 思い立って洞窟を出ようとするーーが、ダンジョンコアをこのままにしていいのだろうか。


「だめだろう、どうにかしないと」


 メニューを開いて設置、拡張について調べる。


「あった、これだ。全くもってゲームっぽい」


 選んだのは区画や階層の整理。とりあえずダンジョンコアは埋めておこう、あとは魔力探知の対策だ。適当に魔物を徘徊させて誤認させる。木を隠すなら森だ、コアとの魔力差は気にしないでおこうーーいや、何か適当な物で偽装工作をしておきたい。


「なにか良いものはないか……」


 考えを巡らせる。


 なにか魔力をまとったものが望ましい。ある程度でいいから質の高いものがいい……もったいないが手持ちの武器にするか。いちおう魔族の魔力が馴染んでいる魔剣だ、役不足ではあるまい。探知できる魔力の質もコアと同じ、これしかない。


「……やっぱもったいない。だが盗られなければ手元に戻ってくる、気にするな気にしない」


 後ろ髪引かれるが装備している短剣を放る。


 よし、あとは徘徊させる魔物だ。召喚可能なのはアンデットの類か悪魔……人族の領地で自然発生してもおかしくないのは人型のアンデッドだな。


「うん、人型のスケルトン一択だな」


 召喚に必要な素材は揃ってる。どこかに埋まっているであろう骨、さまよっているであろう魂だ。その二つとも揃っているから少々の魔力で召喚できる、1割以下だ。


「よし、スケルトンを召喚!!」


 意味はないが声を上げた。だってこうゆうのは雰囲気を楽しみたいじゃん、中学二年生の心がそう叫んでいる。


 そんな思考と高揚感のなかスケルトンが召喚される。僕はてっきり召喚陣があらわれると思っていた。でもそんな期待は裏切らる。ボコりと地面から這い出てきたのだ。これは気持ち悪い。


「ご期待に応えられず申し訳ない」


「……誰だ」


 この場には僕しかいない。侵入者か、それとも魔王国の誰かが監視にでもきたか?


「あのー、私です私」


 声のする方向にいるのはスケルトン。いやまさかな、しかし聞こえた言葉に合う動作をしている。人差し指で自分を指し「いや本当に私ですよ私」という声、じゃあこれって意思疎通ができるってことか。


「まさか、え? そういうこと?」


「そうです。どうゆうことかは分かりませんが」


「えっと、よろしく」


「いえいえこちらこそ、ご迷惑をおかけするかもするかもしれませんが」


「いやいやそんなそんな」


 まさか白骨とお辞儀をし合うことになるとは。

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