第20話「速やかなる思考と行動」
僕は詠唱を省略して動体探知を放ち、素早くもう一度魔力探知を放った。
(……やっぱり血の匂いに引き寄せられてる)
詠唱省略で精度が悪いがこっちにくる数・速度はそこまでではないことがわかった……しかしここでゆっくり解体まですれば戦闘になるかなーーやはり運ぶか。
僕は周囲に潜んでいる可能性も考慮しながら素早く降り、ウサギを手にして迅速に移動を開始するーーっとその前に内臓だけでも取り出そう。絶命させてしまったから早く処理しなければいけない。
(内蔵を落としていこう。食事目的ならこれに意識が向くはず……あとは足とかも置いていくか。追跡に執念を燃やされたら敵わない)
僕は細菌の侵入も考え、水の魔術で刃を形成。人差し指から伸びたナイフのような水刃でまずはウサギのお腹を切開、続いて内蔵と足を切除し、術を切り替え内と外を水流で洗浄した。
多少の血抜き不足は野趣と考えよう、厳密には風味でもあるし鴨肉でもないが問題なしーーすぐに撤退だ。
(あとは匂いを追われないように水の膜で包んでーーよし、低温処理も並行してできる退散しよう)
今回は水の魔術を維持しているため魔力は絞りきれない。なので身体強化で一気に距離をとることに。すぐさま一定距離まで離したら魔力を数瞬だけ絞り、方向を転換しながら逃走経路を読めなくし、相手に労力に見合わないと思わせる。
(これで撒けたかな?)
追っ手の気配はないが獲物を手にした姿を見られたら、そのご新規さんが追っ手となってしまう。隠密行動を心がけつつ野盗達の元まで急いで移動する。多少時間がかかるが仕方ない。これも安全のため、無駄な戦闘をしすぎると魔力が枯渇した時を狙われてしまう。
力無き者が死ぬ世界、それが異世界の森なんだから……
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