第44話「百聞よりも」
というか、ゴーレムに命令しているところに立ち会わせなきゃダメだな。それと裏切るとかしても大丈夫なことの証明も。百聞は一見にしかず、実際に体験してもらわないと変わらないだろう。
それにダンジョンモンスターを外に出した場合の検証も必要だ。実際に活動できるのは知っているし、見たこともある。長時間の作戦行動は可能だし野良となった例も知っているが、実態に運用するとなると知らないことの方が多いだろう。
「(色々と要検証だな……)そんなに心配ならゴーレムに命令するとこに立ち会うか?」
そう言うと彼はゆっくりと首を縦に振った。
「(ずいぶんと挙動が重いなあ……)じゃあ呼んでくる」
僕はそう言い残し、門番をしているゴーレムの元へと向かった。
無意識に長い息が出る。自分で自分の肩をもんでしまうほど、凝るような時間だった。まあ脱したわけじゃないが一旦の小休止、去り際にも刺さるような視線を投げかけられると敵わない。
そうして程なく入り口付近にたどり着くと、ゴーレムがこちらに顔を向けた……
「(ああそうか、ゴーレムは喋れないんだったな)すまんがちょっと来てくれ」
と言うのと同時に念話を飛ばす。
(承知しました)
ゴーレムが重量感のある足音を響かせながらやってくる。
(事前にちょっと説明しとくと、これから会う相手を説得したい。ちょっと協力してくれ)
(承知しました)
(あと何かあっても軽率な行動は控えるように)
(承知しました)
味気のない応答だな……表情も分からないし、念話がなかったら本当に随行している岩人形みたいだーーっていかんいかん、粘性を感じるほどの濃い会話をしたせいか心が荒んでいるな。落ち着け自分。
は〜……しかしこうゆうこともあるから念話の設定いじって正解だったな。もし最初の思考ダダ漏れ状態のままだったらーーと思うと寒気がするな。
(命令ばかりで悪いな)
(承知しましたーーいえ大丈夫です)
(……ちゃんと聞いてた?)
(勿論です)
もしやゴーレムが常に命令待ちなのってAI的な理由じゃなく、種族が持っている本能的なものなんじゃ……?
僕は念のために再度説明しつつ、男たちのいる奥まで進んでいった。
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