第34話「ゴーレム生成」

 するとメニュー画面に注意文が出た。

 その文は「素材をコアの周囲に配置してください。このまま実行すると、勝手に引き寄せることになります」というもの。とりあえず僕は警告された通りにオークの魔石を取り出し、適当にコアの辺りに転がした。


(あとの素材は岩・魔力だけだし、これで問題ないはずだ)


 そうして僕は実行を選択ーーした途端、魔石の周囲にある岩が波打つように集まりだした。はっきり言って気持ちが悪い、岩が意思を持ったように魔石に群がっている。まるで餌をあげた時の鯉たちみたいだ。

 やがてそれらは段々と形を変えつつ、四肢や体を形成していき最後に頭を作った。魔石の姿はどこにも見えない、おそらくどこかに埋まっているのだろう。


(はー、思ったよりでかいな。190cmくらいか……?)


 僕は重量感のある姿に圧倒される。

 全身鎧のように重厚で、デザインもなんとなくカッコいい。石というか岩を活かした良い造形だ。芸術的ではないが男心をくすぐるものがあるーー

 突然の黒電話の音、スケルトンめ感動を邪魔するとは……


(後にしてくれ)

(申し訳ございませぬ)

(……ん?)


 誰だ、スケルトンじゃない。

 僕は一瞬思考回路がショートしたーーが、念話できる存在に当たりがついた。目の前のストーンゴーレム以外にありえないと。しかしここで疑問を感じた。

 なぜ最初から念話を使いこなしている。いや待て、まずは確認しないと……


(ゴーレム、か?)

(左様でございます)

(お前、喋れるんだな)

(念話に限りますが意思疎通は可能でございます)

(つか念話、説明もなしによく使えたな)

(なぜか最初から知っておりました)

(ふむ……?)


 謎が増えた。

 コアの機能か、それともゴーレムという魔法生物の特性か、はたまた別の要因か……答えは出せないが便利ではある。いちいち説明しなくてもいいのは、手間がかからないということだ。楽できるのであれば歓迎だがしかし、これは次からも適応されるんだろうか。

 まあ、考えても答えは出ない。とりあえずは喜ぶことにしよう。今はこれからのことに集中だ。


(ゴーレムは声を知覚できるのか?)

(感じることはできます。あまり性能は高くはありませんが)

(どうゆうことだ?)

(自分には耳、聴覚器官が存在しません。声は振動から解析しないといけません。なので精度が悪いです。反応も遅れます)


 ふむふむ……よくはわからないな。

 それから僕は色々と聞き取りを開始した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る