第30話「とりあえずダンジョンに戻ったんだから」

 それからも羞恥に耐えていると、毒が抜けてきたのか体が動くようになってきた。

 おそらくダンジョンコアの近くにいるからだろう。やはりマスターである僕にとってコアは重要らしい。きっとまだまだ解明されていない色々な恩恵を得ているのだろう。このオーパーツめ。

 まあでもコア付近にいる今のなら多少の無茶がきく。体と魔力を酷使しない範囲で作業、休憩だな。


(さて、とりあえずは手に入れたものが何に加工できるのかは知っときたいな……)


 僕はメニューを立ち上げ、作成可能なものを一覧表示したーー


「……マスター、少しはご自愛してください」

「わかってるよ」


 どうやら心配をかけているようだ。でもこのくらいの作業なら問題はない。僕は嬉々としてメニューを操作する、大きいため息が聞こえても気にしない気にしない。


「へぇ」

「どうしましたか?」

「ああ、これ見てみろよ」

「おお、色々と作れるみたいですな」

「これは助かるな」

「ですな」


 表示されているのは毛皮を素材とする民芸品、魔石を核とする魔法生物であるゴーレム、果物のみを原料とした保存食、薬草と水と魔石のみで生成できる簡易ポーションと様々だ。色々と問題ない範囲で生成したいが、魔力が心もとないーーと思ったが、魔力が思ったよりも回復している。さすがは太古の魔導兵器、モノが違うぜ。


(劇的ではないがこれは嬉しい誤算だ。色々とできることが増えるかもしれない……)


 この回復効率なら今回の素材収集ツアーを終えたら、ダンジョン内での活動に集中したほうが良いかもしれない。これは何としても男2人を協力者したい、せめて良い関係を築いておきたい。できれば行商人として活動させてーーいや、ここまで来るのに違和感があるな。なら森の中に入ろうと不自然ではない冒険者か、ぜひ素材や獲物を卸してほしいな。


(どれほどの待遇なら継続的に関係を築けるんだろうか……いやそもそも彼らの戦闘能力は低い。その前に何かテコ入れが必要だ)


 悩んではみたがいい答えは浮かばなかった。とりあえずは「まず与えよ」で関係の構築だ。多少時間がかかってもそれは仕方ない……優先すべきは人社会で活動できる協力者の確保ーー


(って、そうなるとスケルトンだけに警備を任せてる現状は不都合では……?)

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