楽観_葛藤
第46話 誰もいない文化祭
瀬戸と高嶋がいない。
どう役を回すかを月形が考え込んでいる。
一人ならまだしも二人となるとかなり辛いものになるし、製作もあるのにこれから役を増やしてセリフを覚えるとなると時間が足りない。
やばいな。
「なぁ月形。あのフレストって役、なんなら無くてもいいんじゃね?」
フレストというキャラクターは、ほぼ常に主人公のそばにいて、ことある事に皮肉を言う嫌な役。
「こいつのセリフを一個一個分割して、モブに言わせりゃいいんじゃね?」
「うーん。つまり、フレストの役自体を無くして、セリフを皆で分けるって事?」
「そうそう。それだったら皆の負担も少ないんじゃねぇかなって。」
「いいかもしれない。ちょっと考えてみるね。」
今は製作だからなんとか考える時間がある。
しかしもうすぐその製作も終わる。
明日や明後日にはもう終わってしまう。
早く答えを出さねぇと。
早くセリフも覚えねぇと。
生活委員の俺は、保険の先生とよく会う。
そこで俺は耳が痛くなる程、現実を感じさせられている。
「おはよう。今日もありがとね。」
「あ、そうだ、演劇のあれ。上手くいってるの?人が二人も減ったら出来ないと思うけど。」
「心配してるだけよ。出来ないんじゃないかな。って」
生活委員は日用品の除菌などの仕事を担っている。
だからその仕事が入る度に除菌シートを保健室に取りに行く。
俺以外にも生活委員はいるけど、仕事は二ヶ月交代だから俺は二日に一回は保健室に行くことになっている。
正直ストレスになっていた。
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