第80話 回想

きっとそれは万年住み着くこの孤独のせいなんだろうな。


また俺は責任転嫁をして、戦わなければいけないだろう敵から逃げ回る。


「俺さ。ずっといえなかったけどさ。」


四人で来たはずで、そのうち二人はサッカー部の人達だった。


冬休みだからと十二月にわざわざ宿泊プランをも考えてきたのだ、でも結果はその二人はサッカー部の中でもまだレギュラーで、受験のためにと自分から部活動を止めた聡明は、陸上の年度末大会なんて関係なかったし、俺は部活にすら所属していなかった。


結果、男二人のクサイ旅行になっている。

悪くは無いが。


「お前にすげぇ助けられた、本当に感謝してる。ずっといえなかったけど、まじでありがとう。」


「え?な、なんだよ、いきなり。」


「いや、お前は気にしてねぇかもしんねぇけどさ。

俺がお前に話せるようになったのも、みんなと話せるようになったのも、お前のおかげなんだよ。」


「俺が何かした?」


「ほら、俺らの高校って中高一貫校じゃん。

俺は転校してきたけどさ。


親の仕事の都合でのここに来なきゃいけなくなって、実は前のとこで通ってた学校もあってさ。なんなら、偏差値も低くはなかった訳で、


せっかく前の学校行ってたけど、親がビジネスマンでさ。


割とエリートな感じらしくて、昔から俺もビジネス本読まされたり、投資の本読まされたりしてたの。


そんで、せっかく行くならいい学校って言うのでこの中高一貫校に受験したの。


でもみんな頭良さそうでさ、水泳の授業の時、最後お楽しみタイムみたいなので、水中でものを伝え合う伝言ゲームやったじゃん。」


「おう。懐かしいね。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る