第67話 再愛

母さんが言う。

「すまない。」


「別に責めてないよ。でも、少しは家族へのサービスくらいあってもいいんじゃないかな。って」


「あぁ。そうだな。心がけるよ。」


「何!?怖いんだけど!」


「な、何がだ?」


「なんか今日やけに素直じゃん!?なんかあった!?」


俺は、こんな当たり前であるべき事を言うだけでそんな目をされるのか。と普段の自分を責めてやりたい気持ちになる。


「何も無いよ。ただ、思い直したんだ。少しね。」


「へぇ。じゃあ家事もついでにやってもらおうかな。」


「、、、」


「何そのわかりやすい拒絶!?」


「いや、勝手が分からないもので。」


「普段からやってないからでしょ??」


母さんは大声で笑った。


俺は幸せを大声で叫びたかった。


母さんはテレビを消して、寝ると言うので、ほんの勇気を振り絞った。


「母さん。今日一緒に寝ないか?」


「え、何ほんと。」


「家族サービスって言ったのは母さんだろ?」


「ふーん、そういうことならいいよ。」


「なんだそういう事って。」


「例えばほら、浮気してました、だとか可愛い女の子達に満たして貰いましたとか、そういうので私との味比べって言うんだったら別でしょ?」


「俺を疑うのか?」


「そういうわけじゃないけど、今日のあなたおかしいから!」


「俺だって考えるんだ!」


「そうなのね」


母さんは笑った。

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