第10話 拒否反応
バイトの大林に、バイトを休むので、レジの代わりを頼むことにした。
ちょうど腹に乗せたスマホが落ちそうになって、
スマホを落とさないようにと焦って目を開けた。
なんとか手で拾い上げたスマホを少し眺めて、
これも何かの流れだと思い、電源をつける。
メッセージアプリのme,inを開くと、一度閉じた。
決心がつかなかった。
もう一度開くと、「o-bay」という名前の大林のアカウントをタップした。
最近の人気アニメでの登場人物のアイコンだ。
その右側をタップした。
俺は今年にバイトを始めたばかりだし、
それ以降o-bayとは会話をしていなかったので最後の文章の履歴がアイコンの横に表示されていた。
あなた「よろしくお願いします。」
当時は、新鮮で清々しい気持ちを持って大林を見ていた。
俺は「よろしくお願いします。」をタップする。
心とは反対に画面の上を速やかに指が滑る。
俺は喉に何かがつっかえた様で気が引けていた。
それでも何とか、二十四文字で言葉を連ねる。
「体調が優れず、今日はシフト行けそうにありません。」
そうするとすぐに既読が付いた。
いつもそうで、メッセージを送るとすぐさま返信が来る。
俺はその返信が怖くて、一度スマホの電源を切った。
画面は暗くなったと思えば、タリリンッという通知音でまたすぐに点灯した。
ふぅ。と深い呼吸を一度すると、バナーをタップして、me,inに入る。
「体調不良だからって言って休んでたら仕事進まないですよね。」
「自分の立場を
と挑発のようなメッセージだ。
俺は既読を付けてしまった事で罪悪感を感じながらも、スマホの電源を消した。
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