第42話 教室

あの後私は、学校に行けなかったから。

瀬戸のいない学校は辛かったから。


雛子ちゃんはすごく優しくて、ほぼ毎日家に来てくれた。

私はそういう優しさを感じても、動けないでいた。


食事も取れない、

上手く眠れない、

会話も出来ない。


まさに地獄だ。

修行僧なんかはあんな生活を送ってるのかな。

それで神様と繋がれるとか、自我を断てるとか、


よくやるよなぁ。


電車が着くなり私は四ヶ月ぶりに学校に行った。


やはり学校には瀬戸は来なかった。


瀬戸、私、桐谷、雛子のいつものメンバーはすっかり集結はしなくなった。

桐谷も、号外で瀬戸の死を伝えに来たあの日から見なくなった。


私が学校に行かなかったから当たり前だ。

きっと皆は、私を見ただけで瀬戸の事を思い出すのだろう。


深いため息をついて、大きな息を吸い込むと、息を止めて精一杯の笑顔を作る。


教室のドアを開けると、昨日、明日は行くから!と連絡をした雛子が走り込んでくる。


雛子はほぼ、毎日見てるから顔も声も忘れることは無いが、他の人は顔を見ることで思い出していた。


今日はもう先生にも連絡はしてあるし、私は席について荷物をしまった。


廊下から誰かが走ってくる。

「月形ぁあああ!!」

桐谷の声だ。

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