第12話 誘惑。
俺は駅の方へ向かった。
駅を挟んで日本庭園側には高層ビル群、俺が勤める100均側には、ロータリーとその周りを囲むようにビルが立っていて、色々な店が入っている。
俺は、カラオケの下に入っている漫画喫茶を選んだ。
普段ならこの時間には帰路に着くが、今日はそんな気にもなれなかった。
受付を済ませて、部屋番号を教えてもらう。
俺は部屋に入ると早々に寝転んだ。
まだ寝足りなかった。
予約は三時間だ。
これ以上を過ぎると、延長するしかない。
一時間三百円を切るというのを売りにしているこの店なら、例え長く寝てしまっても問題ないと思った。
しかし寝れない。
リクライニングチェアを百二十度程倒して、程よい角度のベッドとして使おうとしたが、何かが違う気がして眠れなかった。
結局俺はパソコンを開いていた。
別に漫画が好きだった訳でもなかったから、漫画喫茶に来たのはただ眠る為だけだった。
それでもパソコンがあったのでSNSで投稿された動画をみていた。
案外時間は長いようで、何本かの動画をいつも通り眺めていたのに、いつもとは違って時間は遅い。
退屈だ。俺はスマホを出して、適当にSNSを見たり、ゲームをやっていたりした。
でもどれも長くは続かない。
金を無駄にしたくないが為に、時間をひたすら待つのだ。
結局俺が開いたアプリは、me'inの提携するショッピングアプリで使えるポイントを稼ぐことが出来るアプリだった。
広告が大量に投入されていて、ポイントが無料で手に入るというのも多少頷けるところがあった。
俺は特に何も気にせず、適当にプレイしていた。
広告。また広告。
そろそろうんざりしてきた。
なぜだか、今まで広告を気にしたことはなかったが何となく暇つぶしに見てみようと思った。
“たった三時間で一万円!?-作業は単純!まずは申し込みボタンをタップ!!-(株式会社 ms building)”
こういうものには大体裏があるもので、いつもは受け流すことが出来るのに、なぜだか今日はそうも行かなかった。
“詳細を確認(申し込み)”をタップしたのだ。
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