第86話 意外性
俺はもっといじろうとも思ったが
一緒に付箋書いてくれる恩義に着せて今回は放っておくことにした。
教室につくと誰もいない。
放課後の座談会が終わりそれぞれの予定を全うする女子は帰り、カラオケやゲーム会などと、男子も散っていった。
受験が終わったからと浮かれているのだ。
年頃の高校生なんだから当たり前か、と考えるが、そんな自分も高校生なのだ。
そんな教室で俺らは付箋を一枚ずつ取ってそこに記入をしていく。
「あぁああー!!!めんどくせぇええ!!」
「ほんとだよ。なんだよこの仕事。」
「誰かさんが記載ミスしなけりゃなぁー!」
「しょ、しょうがねぇだろ。気づかなかったんだから。」
「はぁーあー。めんどくさいなぁー」
二十枚程しか書いていないのにこんな状態である。
「あ、っていうよりさ、教室でやんのまずくね?」
「あ、確かに。」
「やっば、逃げろ逃げろ!」
「え、どこでやる?」
「分かんねぇけど、高嶋にも言ってみるか?」
「あー。メールしてみてよ。」
「おっけ。」
俺らはスクールバッグに付箋と、六つのファイルにいれたパンパンのプリントを持って校舎の外に出た。
校舎を出て暫く駅の方まで歩くと、聡明の携帯が鳴る。
高嶋からのメールが届いたんだと思う。
聡明は大きく声をあげた。
「おっ、高嶋賛成派だぞ!!」
「まじ?そりゃよかった。」
「ていうか、そうかぁーどこでやるかって話だよな。」
「うん。俺ん家嫌だよ、母親居るし。」
「おっけ。でも俺もやだ。家見られるのはずい。」
「は?」
俺は足を止めてにやけた。
はずい?
なんだそれ、乙女じゃないか。
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