第26話 暗示

俺は真っ暗の空間にいる。

きっとこれは夢だ、すぐ気づいたが出る方法が分からない。


周りを見渡すと前の方に、ぼんやりと、行灯あんどんが漏らしているような薄明かりが見えた。

俺はそっちへ少しずつ足を運ぶ。


二歩、三歩と歩いているうちに嫌な考えが頭をよぎる。

足の裏の感覚がないのだ、

浮いているのか、はたまた足ごと無いのか。


俺が冷蔵庫の前で倒れた時、その瞬間までは覚えているが、足は何一つ傷なんてなかった。


ああ、もしかしたらそうかもしれない。


それを確認する為にも、前へ進まなくてはいけない気がした。

俺は、真っ暗な長細い廊下のような所を歩く。


ついに、前に何かいるのが見えた。

その横にはまさに行灯が置いてあった。


一つ、一つと歩いていくとその小さいのは、おカッパ頭の日本人形だった。


俺には背中を向けている。


俺は少し躊躇いながらも、声をかけた。

「あの、、」


二拍ほど空いた。

その後に日本人形は振り向いた。


振り向いた人形は、ただこちらを見つめていた。



気がつくと俺は目を覚ましていた。

酷い夢だ、中途半端で妙に怖かった。


白い病室で目を覚ますと、何となく目を擦る。

腕になにか付いている、ゴム製のチューブで、点滴だ。


久しく体が動くのがわかる。

それからしばらくすると、看護師が来た。

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