第23話 ビーフシチュー
私はそう言って廊下を通ってお母さんのいるキッチンまで行く。
「あー。お父さんよくやるよね、朝日を浴びて起きるんだー。とか言ってそのまま会社いくの」
「ほんっと。閉め忘れるなら開けないでよね。」
今日の夜ご飯はなんだろう
私が
「今日はビーフシチューだよ〜雛とお父さん、好きでしょ?」と教えてくれた。
「やったぁああ!」
「うふふ、そんなに嬉しいの?」
ガッツポーズをしながら喜ぶ私を見てお母さんが笑うけど、私もなんでそんなに喜んでるのか分からなかった、でも嬉しかったからいいや。
「早く着替えておいで」
お母さんに言われて私は自室に向かう。
何か忘れてる気がした、着替えたり、荷物を置いたりして、やっと思い出した。
そうだ、瀬戸くんだ。
私が瀬戸くんと関わったのは今回で初めてだから、亡くなったって言われても、直接心に来るものはあんまりない。
確かに落ち込むし、切ないけど、泣くほど悲しくは無いし、引きずるほど落ち込みもしない。
でも、瑞希ちゃんが泣いてるのをみると私も泣きたくなっちゃう。
「雛ぁー」
一階から
さては、早くご飯食べよ!っていう、あれだな?
「はぁーい!今行くー!!」
中学二年生なのに私を呼び捨てしたり、生意気な態度を取っていたりするとすこし嫌だなぁって思うけど、なんだかんだ許しちゃう。
私が下に降りると、羽那はやっぱりリビングの机で待っていた。
「皆揃わないと食べられないんだから!」
腰に手を当てて、むすっと怒ったしぐさをする羽那。
うちのオリジナルルールで、家族みんなで仲良く食卓を囲むというほっこりるーるがある。
だから少しでも遅くなると、お腹を空かせた人はぷんぷんし始める。
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