第54話 沈殿
そして俺といる時間が短くなって行って、俺が敢えて時間をズラして家に帰ると、あいつは出ていってしまう、
きっと、そうなんだろう。
俺がアイツから離れ続けた分、アイツは俺から離れ続けるのだろう。
俺は今日、アイツと冗談を交わして笑い合う事を妄想して早めに帰ってきた。
そしてアイツに謝りたかった、今まで寂しい思いをさせてごめんな。と、見舞いに行けなくて、申し訳なかった。と、言いやすい環境を作りたかった。
そうだ、それが素直な考えだ。
ごめんなと言う為に、アイツを笑わせないと俺は言う勇気が出ない。
アイツが笑えば俺が幸せで、アイツに話を聞いてもらえるタイミングで…なんて考えていなかった。
俺は、親なのか?
テレビには、電車の事故を淡々と読み上げるニュースキャスターの姿が映る。
俺はテレビをつけたのに、右下の時間ばかりをぼうっと見つめて、まるで感情を忘れてきたかのように自問し続けた。
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