廃棄

第73話 立場

何故か、家がバタバタしている。

家がというより、お父さんが、かな。


「あいつ。捨てとくべきだったな。」って言って壁を蹴飛ばして穴開けたりしてる。


僕も、勉強どころじゃなくなった。って言われて、引っ越す準備をすることになった。


今日の夜にはもう引っ越すって。


僕は準備をしていたけど、途中で、手を止めてしまった。

今の学校、変わっちゃうのか。

今まで見てきた人たちも、演劇を一緒にやった同級生もみんな、


そう考えているうちに、涙が自然と溢れた。

お父さんは僕を見つけて、「どうしたんだよ、おい」

と声をかけてくれる。


僕は普段の恐怖で何も言えなかった。

体を揺すられる。


何とか言えよって、早くしねぇと殺すぞって言われて、やっと震えながら声を絞った。


「ごめんなさい、ごめんなさい。引越し、したくない。」


震えて泣きながら言う僕をお父さんは置いていった。


「そうかよ。じゃあいいよ。お前みたいなのは残ってろ。この家はお前にくれてやるよ。」


僕は泣いたまま嬉しさを噛み締めた。

これでやっと一人だ。


やっと一人になれる。

やっとだ、本当に嬉しかった。


誰の監視も受けないで、一人で自由を満喫できる。


確かにそう思った。

でも、お金の面もある事を考えるのが先な気がした僕は、今までに独立したいからと調べてノートに取っていたのを思い出して、ノートを漁る。


“数学21”このノートがそうだ。

もし見られてもいいように、数学のノートに書いた。


仕事について調べた時のノートだ。

安定した給料がないと何も出来ない、そう思ったから僕は仕事を調べてた。


でも勉強を優先しろって仕事も出来ないから、調べるだけになっていたもの。


履歴書っていうものが必要で、

親や学校の許可証も必要。


親、、、

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