第105話 準監視
文化祭、雛子さんは可愛らしかった。
文化祭には親の同意が必要なかったから、準備に参加することは出来たけれど、本番は、遊びに行くようなものだと、家から出して貰えなかった。
なんなんだよ。
僕だって怒るんだぞ。
僕だって生きてるんだ。
今だってこう、悶えて苦しんでる。
ほんとになんだよ、なんなんだよ。
持ったペンを力強く握る。
プラスチックの軋む音が部屋に響いた。
その音は、全ての行動が監視に置かれ、抵抗しようものなら体罰で罰されるという厳しい現実を脳に反芻させた。
圧倒的な力が欲しい。
圧倒的な権力、金、名誉、運も何もかもが欲しい。
ぼくには、僕には、何も無いから。
でも、そんな僕を笑って受け入れてくれた。
皆と変わらないように同じ笑顔で、同じ声で話してくれた。
雛子さんが好きだ。
いつも見ている。
つい気になってしまう。
高嶋とか、桐谷達と絡んでる所も、ほかの女と話している時も。
全部見ている。
知りたいんだ。
もっと、深く。
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