第52話 部屋。

あの人と同じ部屋で過ごしたくはない。

ぼうっと外のカラスを眺めながらそう思っているとドアを打つ音が聞こえた。


「いるのか?」


「あぁ。うん、いるよ。」


「体調は…どうなんだ?」


「大丈夫、ありがとう。」


きっと仕事服のまま着替えずに来てくれたんだと、スラックスの擦れる音でわかる。


話しかけてくれたのは、いつぶりだろう。

おかげで空気が軽くなったような気がして、一階に昼食を取りに降りる。


父さんは自室で誰かと電話をしていた。

俺は冷蔵庫からハムを取り出し、パンの棚からマフィンを取った。


上手く焼けたらバターを塗って、ハムを挟んで食べよう。


父さんが来て、テレビをつける。

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