どうやら世界の命運はカードゲームが握っているらしい
てしモシカ
第一部
プロローグ
「レッツサモン!!」
2人の小学生男子が向かい合い同じ言葉を叫ぶとモンスターが現れた。そして、少年達の目の前には光り輝く5枚のカードが空中に浮かんでいる。
「
「うるせぇ!!正義面かましてんじゃねぇよ!!」
怒谷と呼ばれた少年はドロー!!と叫ぶと一枚のカードに記載されている文章を読み上げる。どうやら少年達はカードゲームをしているようだ。
「くらえ!!挨拶代わりの一発だ!!」
「うわあぁぁぁ!!」
モンスターが攻撃を受けると、赤髪のいわゆる熱血少年のような見た目をした男の子が吹っ飛ばされた。もう一度言うが少年達が行っているのはただのカードゲームである。
「タイヨウくん!!」
熱血少年ーーもといタイヨウと呼ばれた男の子に、同い年ぐらいのピンク髪の少女が駆け寄る。
「大丈夫!?」
「心配すんなハナビ!お前のブローチは俺が必ず取り返してやる!!」
タイヨウはピンク髪の少女ーーハナビに笑いかけると、キッと怒谷を睨みつけ、俺のフェイズだ!と言いドローと叫んだ。
「俺は装備カード、大地の斧をドライグに装備!ドライグ!テッコツに攻撃!!」
「わしに命令するな!小僧!!」
ドライグと呼ばれた赤いドラゴンは、鉢巻を巻いた人型に近いモンスターに攻撃をする。すると、怒谷も叫び声を上げながら吹っ飛んだ。
「ぐっ、タイヨウの癖に生意気な!!」
怒谷は忌々しげにタイヨウを睨みつけるとカードゲームを再開させた。
2人の少年の激しい攻防が続く。砂埃が舞い、紙一重のバトルを繰り広げ、最後に立っていたのはーーーー赤い髪の少年。タイヨウだった。
「はぁ…はぁ…勝ったぞ……約束通りハナビにブローチを返すんだ」
「……チッ…いらねぇよこんなもん!!」
怒谷は、ハナビのブローチを乱暴に投げ捨てると逃げるように走り去る。タイヨウは地面に叩きつけられたブローチをそっと拾い上げ、優しく握り締めた。
「タイヨウくんごめんね!私のせいで…こんな…ボロボロに…」
「全然平気だから気にすんなよ!それより、これ」
タイヨウは握り締めた拳をゆっくりと開き、ブローチをハナビの掌の上に置いた。
「大事なもんなんだろ?次は盗られんなよ」
「~っ!うん!ありがとう!!」
涙目になりながらハナビはタイヨウに抱きつくと、タイヨウが「い゛っ!」とうめき声を上げた。どうやら先程のバトルでできた傷に障ったようだ。ハナビは慌ててタイヨウから離れ、タイヨウの傷を心配している。
……何度も言うようだが奴らはカードゲームをしていただけである。しかし、この世界ではカードゲームで怪我をするのは常識であり、誰も疑問に思わない。突っ込んでもいけない。そんなことしたら逆にこちらの正気を疑われてしまう。その事実に慣れるしかないという理不尽な世界なのだ。
これはこの世界に
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