ph91 タイヨウVSシロガネーsideタイヨウー
「僕のフェイズだね。ドロー!」
シロガネがデッキからカードをドローする。
ステュクスもクレイトスも知らないモンスターだ。どんなスキルを持っているか分からない。絶対に負けられないマッチだ。気を引き締めてシロガネの出方を見ねぇと。
「僕はMP1を消費して装備カード、天罰のエストックを装備!」
天罰のエストック?いつもの天界の盾じゃないのか。いったいどんな効果を持ってんだ?
「バトルだ!クレイトスでドライグを攻撃!」
クレイトスがドライグに向かって走る。クレイトスの攻撃力は2。シロガネがそんな簡単な攻撃で終わらせるとは思えない。きっと、スキルを使うはずだ。
「僕はMP2を消費してクレイトスのスキル、諸刃の一撃を発動!体力を任意の数値分減少させ、減少させた数値を攻撃力に加算する!!僕はクレイトスの体力を9減少させて、その分を攻撃力に加算する!!これでクレイトスの攻撃力は11だ!!いけっ!クレイトス!!」
やっぱり攻撃力を上げてきた!これを受ける訳にはいかねぇ!
「俺はMP1を消費してツァイトウルフのスキル、強固な守りを発動!1フェイズに一度だけ相手から受けるダメージを0にする!!」
これで攻撃が防げたらいいんだけど……。
「僕は天罰のエストックの効果を発動!このフェイズ中、自身のモンスター1体に貫通効果を付与する!」
貫通だって!?ツァイトウルフのスキルじゃ貫通を防げねぇ!!
「うわあああああああ!!」
「ぐっ、小童!!」
「自身のモンスターの攻撃によって相手モンスターにダメージを与えた時、天罰のエストックの更なる効果を発動!相手モンスターに与えたダメージの半分のMPを得る!」
ツァイトウルフの強固な守りが破られ、ドライグの体力が4になった。しかも天罰のエストックの効果でシロガネのMPは5も回復した……やっぱ、シロガネは強ぇな……でも!俺もタダでダメージは受けねぇ!!
「俺はMP1を消費して魔法カード、夜魔女の呪詛を発動!このフェイズ中、指定したモンスターが攻撃を行った時、そのモンスターにダメージ1を与える!!」
クレイトスのスキルは強力だけど、その効果で体力は1まで減っている!これが決まればクレイトスを倒せる!
「僕はMP2を消費して魔法カード、天罰を発動。相手の魔法カードの効果を無効にして、相手モンスターにダメージ1を与える」
「えっ!なっ!?うわああああああ!!」
夜魔女の呪詛が無効化され、ドライグの体力がさらに減って残り3になった。でも、クレイトスの残り体力は1だ。次の俺のフェイズで倒すことができる!
「僕はMP3を消費してステュクスのスキル、神の水を発動。自身のモンスターの体力が減った時、減る前の数値に戻す」
体力を減る前の数値に戻すだって!?
「さらにステュクスでドライグを攻撃だ!いけ!ステュクス!!」
「うぐっ!お、れはMP1を消費してブリテンの加護を発動!5フェイズの間、フェイズ開始時のMP回復量を1増やす!」
ステュクスの攻撃を受けて、ドライグの残り体力が1になる。クレイトスの体力も1から10に戻った。
「天罰のエストックの効果を発動してMPを回復する。僕のフェイズは終了だ。タイヨウくん、君の番だよ」
シロガネの奴、1フェイズ目から飛ばしてくんな。俺も負けてられねぇ!
「俺のフェイズだ!ドロー!この瞬間、ブリテンの加護の効果を発動!MP回復量を1増やす!」
これで俺の手札は4、MPは6になった。直ぐに攻撃したいけど、先ずはドライグの体力を回復させないとな。
「俺は手札から道具カード、世界樹の朝露を発動!自身のフィールドにいるモンスターの数分、自身のフィールドにいる全てのモンスターの体力を回復する!」
これでドライグの体力は4、ノミノノームとツァイトウルフは8になった。ここで持ち直すぞ!
「俺は手札から装備カード、大地の宝玉をドライグに装備!ドライグの攻撃力が1増えて3になる!さらにMP1を消費してノミノノームのスキル、鍛冶士の打ち直しを発動!このフェイズ中、選択した装備カードの攻撃力が2倍になる!俺は大地の宝玉を選択!これでドライグの攻撃力は4だ!」
クレイトスのスキルは、自身の体力を削ることで攻撃力を上げる。なら、元々の体力を削ってしまえば攻撃力を上げれない!
「バトルだ!ノミノノームとツァイトウルフでクレイトスを攻撃!」
ノミノノームとツァイトウルフの攻撃が成功してクレイトスの体力は8になった。このまま攻め込むぞ!
「MP3を消費してドライグのスキル、湖からの目覚めを発動!自身の攻撃力を2倍にする!ドライグ!」
「分かっておる!」
今のドライグの攻撃力は8。この攻撃が止められたとしても、ダブルアタックと、大地の宝玉の効果を使えばクレイトスを倒せる!
「僕はMP2を消費して天の采配を発動。このフェイズ中、相手モンスター1体の攻撃力を0にする。更に、攻撃力を下げた数値分の体力を自身のモンスター1体に与える」
「なっ!?」
ドライグの攻撃力が0になる。クレイトスの体力は16まで回復した。攻撃してもドライグの攻撃力が0のままじゃダメージを与えられない。
「……俺のフェイズは終了だ!」
「僕のフェイズだね。ドロー」
シロガネのモンスターの体力を減らせなかった。それどころか体力を増やしちまった。今のクレイトスの体力は16もある。シロガネのMPも4になった。天罰のエストックの効果で攻撃を成功させたらMPを回復できるし、絶対にクレイトスのスキルを使ってくる。
「僕はMP2を消費してクレイトスのスキル、諸刃の一撃を発動!体力を6減らして攻撃力を8にする!」
やっぱり!
「更に、MP2を消費してクレイトスのスキル、冷酷な勅命を発動!攻撃を行う際、相手フィールドにいる全てのモンスターにダメージを与える!!これで終わりだ!!いけ!クレイトス!相手のモンスターを攻撃!!」
全べてのモンスターだって!?今のドライグの体力は4、ノミノノームとツァイトウルフの体力は8だ。クレイトスの攻撃を通せば俺のフィールドにいるモンスターは全滅する!!
「俺はダストゾーンの夜魔女の呪詛をゲームからドロップアウトさせて効果を発動!相手モンスター1体の攻撃力を0にする!俺が選択するモンスターはクレイトスだ!」
今のシロガネのMPは0だ。モンスタースキルも魔法カードも使えないなら夜魔女の呪詛の効果を防げない!!
「悪あがきを……ならばステュクスでドライグを攻撃!!」
「うわぁっ!」
「ぐぬぅ!」
「攻撃に成功した瞬間、天罰のエストックの効果を発動!僕はMPを回復する!!これで僕のフェイズは終了だ!」
へへっ……何とか凌げたぜ……。このフェイズで巻き返してみせる!!
「俺のフェイズだ!ドロー!!」
MPが1しかないシロガネはモンスタースキルを使えない。攻めるなら今がチャンスだ!
「俺はMP1を消費してノミノノームのスキル、鍛冶士の打ち直しを発動!このフェイズ中、選択した装備カードの攻撃力が2倍になる!俺は大地の宝玉を選択する!」
さっきから攻撃してるのはクレイトスだ。それに、ステュクスのスキルは攻撃に特化していなさそうだ。レベルアップしたらどうなるか分かんねぇけど、今、ここでクレイトスを倒しとかねぇと火力で押される!
「バトルだ!ノミノノーム!ツァイトウルフ!クレイトスを攻撃!!」
またクレイトスの体力が8になる。
「ドライグ!クレイトスを攻撃だ!」
よし!ドライグの攻撃が通った!クレイトスの体力が4になる。
「ドライグ!ダブルアタックでクレイトスを攻撃!」
これが決まればクレイトスを倒せる!
「僕はMP1を消費して魔法カード、神の盾を発動!相手から受けるダメージを一度だけ0にする!」
ドライグの攻撃が、クレイトスの前に現れた盾によって防がれた。
「執拗にクレイトスを狙うなんて……よほどクレイトスを倒したかったみたいだね。でも残念。君の攻撃は通らないよ。諦めてフェイズを終了しなよ」
「冗談!勝負はこっからだ!」
「何?」
シロガネなら絶対に手札に防御カードがあると思ってたんだ。でも、今のでシロガネのMPは0になった。もう俺の攻撃は防げねぇ!
「俺はMP1を消費して大地の宝玉を破壊する!そして、この装備が破壊され、装備していたモンスターの属性に大地、竜の2つの属性があった場合、大地の宝玉の更なる効果を発動!装備していたモンスターを再度攻撃させる事ができる!」
「なんだって!?」
「小童!!」
「あぁ!俺はさらにMP3を消費してドライグのスキル、湖からの目覚めを発動!攻撃力が2倍になる!ドライグ!!いけぇ!!」
攻撃力が4になったドライグによってクレイトスの鎧が粉々に砕かれる。残り体力が4だったクレイトスの体力は0になり、消滅した。
「へへっ!やったぜ!」
クレイトスを倒せた!俺のフィールドには残り体力が2のドライグと、体力が8のノミノノームとツァイトウルフがいる。そして手札は3。MPも1残ってる。最初は押されてたけど、これなら挽回できそうだ。
「言ったろ?勝負はこっからだって。お前のアタッカーモンスターは倒したぜ!」
俺がビシッとシロガネを指差しながら笑うと、シロガネは俯いて黙っちまった。
シロガネの落ち込んでいるような雰囲気に、もしかして何か不味いこと言っちまったかと焦る。
ハナビに無神経だって言われる事があるし、気付かない内に傷つけるような事言ってしまったかもしんねぇ!
「し、シロガネ……あのよ、俺何かーー」
「あっはははははははははははは!!」
「シロガネ!?」
ど、どうしたんだシロガネの奴……いきなり腹を抱えながら笑い出すなんて……。
「クレイトスなんてザコモンスター……そんなのを倒したぐらいで喜ぶなんて……ほんっと、君の頭はめでたくて面白いね」
「なっ!?ザコモンスターだって!?」
「そうだろ?ステュクスの補助がなければまともにスキルを使えないモンスターだ。ザコと呼ばずなんと言うんだい?」
「そんな事ない!サモンマッチにザコなんかいない!個性があって、それぞれに強みがあるんだ!それに、クレイトスは強かったじゃねぇか!1フェイズ目からあんなに強い攻撃ができてーー」
「君が弱いからそう感じただけさ」
「!?」
「君が弱いからクレイトスの攻撃を止めれなかった。それだけの話だ」
「……」
これはシロガネの本心じゃない。そんな事は分かってる……でも、嘘だと分かっていても友達の口から酷い言葉を聞くのは辛ぇな……。
「本当に強いモンスターがどんなモノか見せてあげるよ……ステュクス!!」
シロガネがステュクスとマナを循環させ始めた。これは、モンスターのレベルアップか!?じゃあ、シロガネはレベルアップを習得したのか!?
「大地と天空の血を受け継ぎし冥界の女神よ!至上の神に賜りし権限を持って正義を執行せよ!!」
黒い、嫌な感じがする。シロガネらしくないマナがステュクスを包み込んだ。
この感じ、このマナはエンの時と同じ?もしかしてこれがサタンのマナなのか!?
「レベルアップだ!進化せよ!レベル4、神の審判者ステュクス!!」
俺の目の前に、ステュクスらしきモンスターが現れた。元々、ステュクスは綺麗な女の人の姿をしていた。俺も、サチコもヒョウガのモンスターも、レベルアップした時は前の姿の面影があったのに……サタンのマナによって進化したステュクスは、人型のモンスターだったとは思えない恐ろしい姿に変わっていた。ホラー映画に出てくるような……そんな怖い姿に変わっていたんだ。
「美しいだろう?神を裁くに相応しい姿をしていると思わないかい?これが僕の求めていた完璧なモンスターだよ」
「シロガネ……」
……どうしてだろう。シロガネがどんどん遠くなって行く気がする。
「君の偽善は聞き飽きた。君が曰う綺麗事が如何に間違っているのかを教えてあげるよ」
「本当の正義がなんたるかを教えてあげようじゃないか!侵犯の時間だ!!タイヨウくん!!君を僕の正義で染めてやるよ!!」
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