第5話 エンは悪くない
「普通でもそれ程使えるのか。」
「なに言っているんだ、ティオ爺。全然ダメじゃないか。力の分散が酷い。突きの意味をなしていない。」
「だからな、これは初心者用ではなくて中堅者用に剣だと言ったよな。お前には重いとも。」
「ああ。」
「子供用のレイピアも存在する。貴族のお子様用だ。それは、もっと軽くて柔い作りなのだ。エンの持っているレイピアは作りがしっかりしている分、貫通力がある。しかし、その分重さも増えるのだ。それを、人形に突き立てることができる時点でおかしいのだ。」
おかしいのか?
「エン。上の服を脱いで見ろ。」
「あ゛?」
ティオ爺は変態爺だったのか?
「人を変態を見る目で見るな。体のバランスを見るためだ。」
脱ぐのか・・・嫌だな。しぶしぶ上の服を脱ぐ。
「・・・エン。ご飯はきちんと取っているか?」
「取っているような体に見えるのか。」
「・・・ドラクか。」
「ああ。」
俺の
「いつからだ。いつからまともに孤児院のご飯を食べていない。」
「食事がスープのみになったのは5歳からだ。」
「スープのみ。それは12歳でも8歳児の身長しかないはずだ。はぁ。今日はこれで終わりだ。服を来て待っていろ。ライラを呼んでくる。」
ティオ爺はそう言ってライラを呼びに行った。
さっきの身体強化をするのはよかったな。体が軽かったし、思った以上の力が出た。しかし、使いすぎは良くないような気がする。もう少し改良すればいけるのか?魔術の細かい作業は俺は苦手だしな。どうしたものか。
「エン。エンはどうだった?」
いきなり目の前にライラがいた。どうやら思考の海に潜ってしまったようだ。
「何がだ?」
「もう。エンの剣はどうだった?」
「いいんじゃないのか?」
「む。適当。私の杖はすっごくよかった。私、光魔法使えたんだよ。これで、『癒しの光』の魔術が使えるようになったら、みんなの怪我を治してあげるね。」
「?。その前に教会に行くことになるんじゃないのか?」
「え?」
「光魔法を使える人たちは教会に連れて行かれるって聞いたぞ。」
ライラは真っ青な顔色になり
「私は光魔法なんて使えません。ナルさーん。」
そう叫びながら、金髪の女性の元に走って行った。
教会は光魔術を使える人物を独占しているってのは有名な話なのに、ライラは何を言っているんだ。
翌日から俺はまともに食事を取ることができるようになったのだ。それも少し多めにだ。
何故なら、ドラクがここではなく院長と一緒に孤児院の隣にある院長の個人宅で暮らすことになったからだ。
それなら、始めから自宅で暮らせと思ったが、孤児院の孤児たちと暮らすことで、孤児たちを家族と思って大切にするだろうという院長の思惑があったみたいだが、『俺がこの孤児院の院長の息子だぞ。』オーラはバシバシ感じていたぞ。ガキ大将化もしていたしな。
そして、俺はやっとまともな食事にありつけたということだ。マジでこれからどうしようかと思っていたのだ。四六時中、ドラクが周りを彷徨いていたら、スライム狩りもできないだろうし、ネットも使えないだろうし、俺は餓死してしまうのではないかと思っていたところだ。きっと、昨日ティオ爺が院長に話をしてくれたのだろう。
今日からは訓練と薬草採取をするらしい。それを1ヶ月続けたら、魔物討伐のチームと合流することになるらしい。1ヶ月後何てこなければいい。
ティオ爺が孤児院まで迎えに来てくれ、ドラク率いる討伐チームはそのまま、街の外に行き、俺とライラはティオ爺と共に昨日の訓練施設に行くことになった。
「なぁ。ティオ爺。」
「なんだ。」
「商業ギルドにも登録したいんだけど、どうすればいい?」
「なんだ。エンは商人を目指すのか?商人も中々大変だぞ。」
「どうせ、俺の身なりはこんなんだから、一所にはいられないだろ?町から町へ売り歩く商人もいいかと思ってな。」
「行商人か。」
今の俺は黒髪が見えないようにキャスケットを深く被り髪が見えないようにしている。
これは前から考えていたことだ、ネット通販使えれば、最強じゃねって・・・いやその前に課金しなければならないのだが。
「エンは悪くないのに、黒髪の何が悪いのかわからない。」
ライラはそう言ってはくれるが、世間の目はそうは見てくれない。
一番有名な人物をあげると亡国カウサ神教国を滅ぼしたというマリートゥヴァ王太子妃が上げられる。3000年以上前の人物だが、いまだに人々に語り継がれるほどの驚異になった人物だ。最初に魔人化した人物。魔人マリートゥヴァ。
どのような色を持つ者であろうとも魔人化をすれば黒を纏うことになる。世間の目は黒
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