第55話 ツッコミどころがありすぎる

「何。この面白そうな関係。ルギア様の子供と私のアルティーナが!本店に戻りたいわ!」


 だから、俺はルギアの子供じゃないし、面白がるな。そして、私のアルティーナってことは、ジェームズの娘か?


「おう、本店に行けばもっと面白いのを見られるぞ。」


 ゼルト。面白いってなんだ!面白いって!


「店長ダメです。ここに居てもらわないと、店が回りません。」


「でも、アマツ様のお世話をするのは私の仕事だったのよ。だから、今度はちゃんとお側にいたいのよ。」


 真面目な顔をして白猫獣人の女性が言っているが、そもそも俺は天津ではない。それにさっき面白がっていたよな。そのゆらゆら動いている白い尻尾はなんだ。表情と尻尾が合っていないぞ。


「そんなぁ。」


 と従業員が項垂れているが、諦めるのが早すぎだもう少し粘れ。


「俺は天津じゃないし、ルギアの子供でもない。タダの孤児のエンだ。それに俺は身の回りの世話をしてもらうほど子供ではない!」


「え?8歳ぐらいでしょ?」

「10歳はいっていないよな。」

「6歳ぐらいじゃない?」


 6歳ってなんだ!そこまでチビじゃない・・・はずだ。


「13歳だ!」


「「「ないないない。」」」


 そこは支店長と従業員全員で声を揃えなくてもいいのではないのか?

 ソル、俺の後ろでヒーヒー言いながらそこまで笑わなくていいと思うぞ。ヴィーネとアイリス、俺の頭を撫でなくていい。余計に虚しくなってくる。


「う。商品は出したからな。ゼルトのオッサン、さっさと本店に戻るぞ。」


 俺は、踵を返して店の外に出る。く、太陽の光が滲んで見えるが気のせいだ。




「ふむ。エルフの王か。」


 俺は本店に戻って来て、ジェームズの執務室で書類が整然と積み重なる机に座るジェームズに今回の運搬業務の報告をしているところだ。どこぞの部屋とは大違いだ。因みにゼルトは残りの支店の商品運搬のために、商品の用意をしているのでここにはいない。こういうことはゼルトが報告すべきではないのか?


「それで、エルフの少女を一人雇って欲しい。ヴィーネが言うには白者は居場所がないらしい。」


「それは、本当に白者か?」


「どういうことだ?」


「アマツ様の横に居た者もそう言って近付いてきたんだ。あることがきっかけで白者じゃないとバレたんだが、アマツ様は彼をそのまま受け入れた。」


「ふーん。で、殺されたと。お!ソル。俺に殺気を向けても仕方がないぞ。どうすれば、白者かそうじゃないかがわかるんだ?」


「魔力の量だ。白者は人族程しか持てないそうだ。」


 いまいちピンとこないなぁ。


「誰に聞けばそれがわかる?俺には魔力がどれぐらいが多いか少ないかなんてわからん。」


「アマツ様なら見れたんだがな。」


 天津がミれた?鑑定か何かか?ジェームズを見たまま『鑑定』と魔力を練り上げ口に載せてみる。


 するとウインドウが目の前に開きジェームズのステータスが・・・え?マジで?


「ジェームズ、レベル90あるのか?他のステータスが5桁や4桁なのにINTとMNDが3桁ってどういうことだ?って4桁になるのか?」


「なんだ。エンも見えるのか。獣人の魔術師が少ない理由だ。元々獣人は総じて魔力は低い。4桁は確かレベルが50になると解放される。レベル100を超えると8桁にだったか?」


 え?桁数の解放ってなんだ?普通には数値で表せばいいだけなのに?もしかして


「なぁ。もしかして1年前計測したときLUKが999だったのだが、本当は99,999,999かもしれないってことか?」


「そうだろうな。」


 マジか。そこまで行けば流石にLUKがおかしいと思うよな。


「ソル。そのエルフの少女を連れて来てくれ。」


「ああ。」


 そう言ってソルはジェームズの執務室から出ていった。


「エン。」


 ジェームズが俺の目の前まで来た。


「なんだ?」


「それは、何処まで視ることができる。」


「何処まで?」


「基本ステータスだけなのか。種族や称号、スキルまで視れるのか。」


「さっきはギルドで見たような感じで見れたけど?」


 俺はそれしか知らなかったからあの様に見えただけで、他にもステータスとして存在すると知ったのなら、見れてしまうような気がする。


「自分で見るステータスの様に見れなかったということか?」


「え?自分でステータスが見れるのか?ティオじいはそんなこと教えてくれなかったぞ。」


 なんだそれは、それじゃ、わざわざギルドでステータスを見る必要がなかったじゃないか。


「ああ、それは魔力が安定していないと上手く見れないからな。成人するまでは教えないのだ。エンは魔術を使いこなしているから、見れるのかと思ったが、知らなかったのか。」


「知らん。どうすれば見れる。」


「普通に『ステータス』と言えばいい。」


「『ステータス』」



エン・グラシアール


 13歳

 種族:龍人族


 Lv.93


 HP 99999

 MP 99999


 STR 99999

 VIT 59821

 AGI 99999

 DEX 98377

 INT 99999

 MND 26753

 LUK 99999


スキル

 ネットショッピング(別紙参照)

 グルグルマップ(別紙参照)

 魔術創造(別紙参照)


称号

 異界からの転生者

 変革をもたらす者

 ✕✕✕✕

 ✕✕✕✕✕✕



 え?ツッコミどころがあるすぎるのだが?

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